2010 Fiscal Year Annual Research Report
若年女性のやせ志向と次世代のメタボリックシンドローム形成に関する研究
Project/Area Number |
19300231
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
冨樫 健二 三重大学, 教育学部, 教授 (10227564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福岡 秀興 早稲田大学, 胎児エピジェネティックス制御研究所, 客員教授(専任) (80111540)
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Keywords | やせ志向 / 成人病胎児発症説 / 肥満小児 / 内臓脂肪 / メタボリックシンドローム |
Research Abstract |
平均年齢9.1±1.9歳、肥満度39.2±18.0の肥満小児313名を対象に周産期の状況について検討した。対象児の平均出生体重は3175.0±400.0gと平成21年度の日本人における平均出生体重3020gに比べ有意に高く、母親の妊娠前の体重と有意な正の相関を示した(r=0.294,P<0.001)。出生時体重と現在の肥満度は肥満女児のみ有意な正の相関を示し(r=0.195,P<0.05)、肥満男児では認められなかった(r=0.088)。出生体重と現在のCVDリスクファクター、アディポサイトカインとの間に有意な関連は認められなかった。一方、肥満が主訴で入院した55名(平均年齢10.2±1,9歳、肥満度55.1±18.8%)を対象とした経口糖負荷試験(OGTT)において肥満女児の総インスリン分泌面積は出生時体重と有意な負の相関を示し(r=-0.485,P<0.05)、出生体重の小さな者ほど大きなインスリン抵抗性を呈していた。運動療法、食事療法を併用した3ヶ月間の減量プログラム後、体重減少とともに内臓脂肪面積も53.9±26.3cm^2から34.1±16.0cm^2へと有意に減少したが、先に述べた肥満女児の出生体重と減量後のOGTTから求めた総インスリン分泌面積との間には依然有意な負の相関が残存した(r=-0.630,P<0.0l)。 以上の結果より、現在肥満である子どもは出生時から体重が重く、出生体重の小さな子どもが将来肥満になるといった傾向は認められないものの、出生体重が小さく、将来肥満になった子ども(特に女児)ではインスリン抵抗性が高くなる可能性が示唆された。また、その肥満女児におけるインスリン抵抗性は、肥満が改善した後にも残存する可能性があり、2型糖尿病や他の生活習慣病を予防するためにも周産期における胎児の母胎内環境を適切に保つことの重要性が示唆された。
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