2009 Fiscal Year Annual Research Report
老年症候群の複数徴候保持者の徴候改善を目指す包括的介護予防プログラムの効果検証
Project/Area Number |
19300236
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
金 憲経 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都, 研究副部長 (20282345)
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Keywords | 老年症候群 / 複数徴候 / 介護予防 / 転倒 / 尿失禁 / 生活機能低下 / 転倒恐怖感 |
Research Abstract |
地域在住高齢者における老年症候群の複数徴候保持者の割合は15.3%と高かった。多重ロジスティック回帰分析法により、老年症候群の複数徴候と関連する要因を検討した。その結果、転倒恐怖感(オッズ比=1.59、95%CI=1.02-2.53、P=0.045)、通常歩行速度(オッズ比=0.28、95%CI=0.11-0.71、P=0.007)の2項目が有意であった。老年症候群の複数徴候有症率は通常歩行速度が遅い群(46.2%)が速い群(12.5%)より高かった。 老年症候群の複数徴候保持者(尿失禁+転倒恐怖感、転倒恐怖感+生活機能低下、生活機能低下+尿失禁、尿失禁+生活機能低下+転倒恐怖感)を対象に「老年症候群の複数徴候改善」を目的とした包括的運動介入プログラムを開発し、その効果を検証するために、複数徴候保持者102名に介入参加を促した。介入参加希望者61名、不参加者41名であった。参加希望者をRCTにより運動群31名、対照群30名を配置し、運動群には週2回、1回当たり60分、筋力強化、歩行機能の向上、バランス能力の改善を目的とした包括的指導を3ヶ月間行った。介入終了後3ヶ月間追跡した。その結果、生活機能、尿失禁は有意に改善されたが、転倒恐怖感の改善は見られなかった。さらに、複数徴候下位群においては「生活機能低下+尿失禁」群の改善が最も顕著であり、介入3ヵ月で得られた改善効果は追跡3ヵ月までも維持できた(F=4.45,p=0.015)。しかし、転倒恐怖感を持っている下位群では統計学的に有意な改善効果は得られなかった。この結果より、高齢者における老年症候群の複数徴候を効率良く解消するためには、運動を中心とした包括的介入プログラムのみでは、得られる効果に限界が存在することが示唆された。これらの結果を踏まえ、今後は運動、栄養、看護、心理ケア等々を含んだチームアプローチが重要であることが推察された。
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Research Products
(13 results)