Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中津 楢男 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (90133131)
江島 徹郎 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10335078)
梅田 恭子 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (70345940)
多鹿 秀継 神戸親和女子大学, 発達教育学部, 教授 (30109368)
横山 詔一 人間文化研究機構・国立国語研究所, 理論・構造研究系, 教授 (60182713)
|
Research Abstract |
本研究では,朝日新聞オンライン記事データベース「聞蔵」を対象に,外来語が使用されている記事の件数を集計し,その経年変化を分析した。調査データには,1994年から2008年までの15年間分の記事を用いた。その具体的な研究実績の概要は次の通りである。最初に,新聞コーパスに収録されている記事データの総文字数を年度ごとに推定する手法を提案した。次に,「外来語」言い換え提案に掲載されている外来語と,その言い換え語が,何件の記事に使用されているのかを年度ごとに集計した。その結果から,たとえば,外来語「アカウンタビリティー」とその言い換え語「説明責任」が併記されている記事の件数の経年変化の特徴を明らかにしたことで,馴染みの薄い外来語を使用するにあたり,読者の文章理解への配慮がどの程度配慮されているのかを考察した。また,「アカウンタビリティー」が使用されている記事の件数は,99年をピークとする山型の分布型をしており,99年以降は減少傾向にある。その一方で,「説明責任」は,99年以降,急激に増加していることが示された。これにより,新規に登場した外来語の使用がピークを迎え,その外来語の言い換え語が社会に広く定着していく様子を数量的に示すことができた。さらに,本研究では,「アカウンタビリティー」以外の外来語と,その言い換え語の使用実態についても同様な分析を行うことで,その経年変化の特徴を考察した。こうして得られた知見は,新規に登場した難解な外来語とその言い換え語がどのようにして社会に定着していくのかを的確に示すものであり,文章理解支援に役立つ有用な資料となる。最後に,現代の若者層における語彙力を調査し,日本語能力と語彙力との関係についても,併せて,分析した。
|