2007 Fiscal Year Annual Research Report
人骨のストロンチウム同位体比に関する基礎的研究とその考古学的応用
Project/Area Number |
19300301
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
南 雅代 Nagoya University, 年代測定総合研究センター, 准教授 (90324392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淺原 良浩 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教 (10281065)
山本 鋼志 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (70183689)
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Keywords | 古人骨 / ストロンチウム同位体比 / 鎌倉由比ケ浜遺跡 |
Research Abstract |
土壌や土壌中の水のストロンチウム同位体比(^87Sr/^86Sr)は地質によって異なり、ある土壌・水で生育した植物組織内の^87Sr/^86Sr比、その植物を食した動物や人間の組織内の^87Sr/^86Sr比(食物由来Sr)もその地質情報を反映する。このことを利用し、古代遺跡から出土した古人骨・歯の^87Sr/^86Sr比を測定することにより、その遺跡に埋葬されている人の生育地域(地質)を推定することが可能である。しかし、骨組織のCaはSrと容易に置換するため、古人骨中には、生前の食物由来Srだけではなく、死後、周りの水や土壌から骨に混入した続成由来Srも含まれている。本年度は骨試料の基礎データとなる^14C年代、炭素・窒素同位体比測定のための試料調製法の検討を進めたほか、主に以下の2点について検討を行った。 1.地質の^87Sr/^86Sr同位体比と、その地質に生息する動物の^87Sr/^86Sr同位体比の比較 琵琶湖、諏訪湖、野尻湖、八郎湖の湖水とブラックバスの骨の^87Sr/^86Sr同位体比はほぼ同じであった。また、愛知県豊田市足助と滋賀県伊吹山に生育する現生動物(猪、鹿)の骨の^87Sr/^86Sr同位体比についても、その動物が生育した地質を代表すると考えられる河川堆積物の^87Sr/^86Sr同位体比とほぼ同じであり、動物の組織内の^87Sr/^86Sr比(食物由来Sr)はその地質情報を反映することが確認された。 2.鎌倉由比ヶ浜地域の遺跡から出土した人骨・歯、土壌の^87Sr/^86Sr同位体比測定 骨・歯の酢酸可溶成分、酢酸リーチング後の残さ、土壌の^87Sr/^86Sr同位体比の比較を行った。その結果、酸リーチングを行っても、周りの土壌や水から入り込んできた骨中の続成由来Srは完全に除くことができず、他方、歯試料については、食物由来Srの情報を得ることが可能であることが明らかとなった。
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[Presentation] Do strontium isotope ratios of animal bone and teeth really reflect the isotope ratios of its provenance geology?2007
Author(s)
Minami, M., Goto, A., Suzuki, K., Kato, T., Watanabe, K. and Hasegawa, T.
Organizer
AGU Fall Meeting
Place of Presentation
USA、サンフランシスコ
Year and Date
20071210-14
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