2007 Fiscal Year Annual Research Report
自然レベル放射性炭素を用いた北極上壌微生物による新たなCO2放出メカニズムの解明
Project/Area Number |
19310015
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
内田 雅己 National Institute of Polar Research, 研究教育系, 助教 (70370096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 昌男 独立行法人国立環境研究所, 化学環境研究領域, 研究員 (50344289)
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Keywords | 環境変動 / 土壌圏現象 / 微生物 / 極域 / ノルウェー |
Research Abstract |
本年度は、土壌微生物群集調査および土壌試料からの微生物脂質の探索と抽出方法の検討を中心に行った。土壌微生物群集調査では、阻害物質によりバンドの分離が上手くいかないなどの問題が生じたものの、DGGE法により土壌深層のみに生息する細菌群集の存在が示唆された。また、fossil carbonを多く含む土壌層の微生物のみ分解可能な有機物の存在も明らかとなった。 本研究の目的である微生物によるfossil carbonの分解プロセス解明のための手法である微生物脂質レベルでの放射性炭素測定を行うにあたり、微生物に特有の脂質の大量抽出、濃縮、精製が必要である。本年は、大量抽出に先立ち、微生物脂質の抽出条件の検討とLC/MSによる脂質分子の同定、大量分取に向けた分取LCのシステム構築等の検討を行った。その結果、微生物脂質の中でも嫌気性古細菌の膜脂質分子である分岐イソプレノイドエーテル脂質(以下、GDGTs)の抽出、同定に成功した。これらの分子の起源となる微生物種の特定は、遺伝子解析による系統解析の結果を待たなければならないが、最新の報告では、土壌環境における嫌気性古細菌の多くには、アンモニア酸化型の古細菌(細菌であれば、いわゆる硝化細菌)が存在することが示唆されていることから、本研究対象である高緯度北極土壌においても、アンモニア酸化型古細菌の存在について検討が必要かもしれない。仮に古細菌バイオマスの優占種としてアンモニア酸化型古細菌の存在が重要であった場合には、エネルギー源として土壌炭素の酸化分解(従属栄養)としてfossil carbonを利用していることが推定される。来年度においては、さらにGDGTsの大量分取に向けた条件検討を進め、GDGTsレベルでの放射性炭素測定の実現をめざす。
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Research Products
(15 results)