2007 Fiscal Year Annual Research Report
炭素・水素同位体比を用いたカナダ亜北極域における大気中メタンの変動に関する研究
Project/Area Number |
19310016
|
Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
森本 真司 National Institute of Polar Research, 研究教育系, 助教 (30270424)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 周司 東北大学, 理学研究科, 教授 (00183129)
中澤 高清 東北大学, 理学研究科, 教授 (30108451)
|
Keywords | 温室効果気体 / メタン / 同位体比 / 北極域 |
Research Abstract |
大気中のメタン濃度は、産業活動以降の人間活動の活発化によって急激に増加してきたことが知られており、二酸化炭素に次いで重要な温室効果気体としてその動態が注目されている。しかし、メタンの放出源が有機物の嫌気性分解・化石燃料・バイオマスバーニング等多岐にわたることから、大気中メタン濃度の観測のみからその変動原因を明らかにすることは困難であった。メタンを構成する炭素・水素の同位体比は、それぞれのメタン放出源ごとに特徴的な値を示すために、メタン濃度と同位体比の同時高精度観測から大気中のメタン濃度変動原因に関する情報を得ることができる。本研究では、メタンの放出源の一つとして重要な湿地域を後背地に持つカナダ亜北極域チャーチルで採取された大気試料を用いて、メタン濃度とその炭素・水素同位体比(d13C、dD)を分析し、カナダ亜北極域でのd13C、dDの世界で最初の時系列データを得ると共に、その季節変化・経年変化を明らかにし、大気中のメタン濃度変動原因に関する知見を得ることを目的としている。 今年度は、まず現有の連続フロー式ガスクロマトグラフ質量分析計の高度化・高精度化を行い、50〜100ccの大気サンプルからd13C、dDをそれぞれ0.06パーミル、1.0パーミルの精度で分析することを可能にした。また、チャーチルで週に2度採取された後、カナダ環境省研究所経由で送付される大気試料の分取とカナダへの試料容器の返送作業をルーティンベースに載せ、国立極地研究所と東北大学でのd13C、dD分析を開始した。今後、同位体比の高精度分析を維持しデータの蓄積を図ると共に、メタン濃度の変動原因に関する解析を進める。
|