2008 Fiscal Year Annual Research Report
アジア農業モデルによる気候変動の影響予測と適応戦略
Project/Area Number |
19310027
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
中川 光弘 Ibaraki University, 農学部, 教授 (30302334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加賀爪 優 京都大学, 農学研究科, 教授 (20101248)
長澤 淳 茨城大学, 農学部, 講師 (80318211)
信岡 尚道 茨城大学, 工学部, 講師 (00250986)
田附 明夫 茨城大学, 農学部, 准教授 (70201613)
金澤 卓弥 茨城大学, 農学部, 講師 (70272119)
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Keywords | 気候変動 / 農林水産業 / 計量モデル / 環境対応 / アジア / 持続可能な発展 / 農村開発 |
Research Abstract |
気候変動の農産物需給への影響評価のためのアジア農業モデルの開発を行った。本年度はFAOの世界食料モデルと農林水産省の世界食料需給モデルとの比較検討を通じて、アジア農業モデルの基本構造やパラメータの検討を進めた。作物部門モデル、畜産部門モデル、GISを使った土地利用モデルの開発も進め、農産物市場モデルとの連結方法について検討した。9月には世界で最高の米単収を実現している中国雲南省麗江市を訪問し、アジアの現場での農業技術進歩のポテンシャルと気候変動への地域での適応策について現地調査を行うとともに雲南大学でシンポジウムを開催し、現地の専門家との意見交換を行った。 農産物市場モデルのパイロットモデルによる試行によると、世界の穀物需給は1990年代以降の穀物単収め伸び悩みと最近のバイオ燃料需要の増加の影響から、今後逼迫化して推移する可能性が高いことが明らかとなった。アジアにおける農地開発は、既に農業適地が開発されつくされているためそれ程開発の余地はなく、また温暖化の影響を受けやすい河川デルタ地帯での基盤整備が重要であることを明らかにした。今後、穀物需給の逼迫化を回避するためには技術進歩による穀物単収の引き上げが不可欠である。雲南省麗江市の事例では、気象条件に恵まれた平坦地ではハイブリッドの導入を契機とした近代農法の普及によって世界最高水準の単収が実現しているが、それは同地域の一部に過ぎず、種子の更新問題や気候変動のためその普及が限定されており、気候変動が大きい標高の高い地域では在来種による伝統農法の方が遺伝資源の多様性保全の視点からも地域適応的であることを明らかにした。
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Research Products
(8 results)