2009 Fiscal Year Annual Research Report
アジア農業モデルによる気候変動の影響予測と適応戦略
Project/Area Number |
19310027
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
中川 光弘 Ibaraki University, 農学部, 教授 (30302334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加賀爪 優 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20101248)
長澤 淳 茨城大学, 農学部, 講師 (80318211)
信岡 尚道 茨城大学, 工学部, 講師 (00250986)
田附 明夫 茨城大学, 農学部, 教授 (70201613)
金澤 卓弥 茨城大学, 農学部, 講師 (70272119)
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Keywords | 気候変動 / 農林水産業 / 計量モデル / 環境対応 / アジア / 持続可能な発展 / 農村開発 |
Research Abstract |
気候変動の農産物需給への影響評価のためのアジア農業モデルの開発を進め、作物部門モデル、畜産部門モデル、GISを使った土地利用モデルとの連結方法について検討を行った。また昨年度に引き続いて中国雲南省麗江市を訪問し、ha当たり19t(籾ベース)の世界最高の米単収を実現しているハイブリッド稲作の現地調査を行い、高収量実現の諸条件とそれを農家に普及する際の諸問題を明らかにした。 アジア農業モデルを使った研究では、気候変動による同時不作の発生が、在庫水準と主要輸出国の輸出政策の変更によって、世界米市場にどのような影響を及ぼすかの影響評価を行った。具体的には、2007年の世界米市場において、世界第2位と第3位の米輸出国であるベトナムとインドが実施した米禁輸によって、米不作の影響がどの程度拡大されたかの計量評価を行った。輸出元と輸出先を特定化できる貿易モデルを使った影響評価では、ベトナム、インド両国の米禁輸によって、両国の国内価格の高騰は抑えられたものの、特にアフリカやカリブ地域の米輸入諸国では、外貨不足のため高騰した米の輸入が急減し、深刻な米不足を引き起こしたことが明らかとなった。気候変動に伴う食料生産の変動性の高まりは、特に穀物輸入への依存度が高い最貧国の食料安全保障を著しく低下させること、これを回避するためには、国際農産物貿易のルール作りや国際穀物緩衝在庫の創設、国連の世界食料計画(WFP)を中心とした食料援助体制の強化などに取り組むことが必要であることを明らかにした。
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Research Products
(13 results)