2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19310117
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
松岡 裕美 Kochi University, 教育研究部・自然科学系, 准教授 (60222296)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 眞 高知大学, 教育研究部・自然科学系, 教授 (10112385)
|
Keywords | 地震 / 津波 / 南海地震 / 自然災害 / 地質学 / 津波堆積物 / 巨大地震 / 再来周期 |
Research Abstract |
私たちは、これまで西南日本の南海トラフ沿岸域の湖沼において過去の津波堆積物の研究を行ってきた。その結果、南海地震には規模の大きなものと小さなものが存在し、巨大型の南海地震は350年程度に1回発生しているらしいことがわかってきた。本研究では巨大型南海地震の活動履歴をより正確に知ることを目的として、19年度から20年度にかけて四国南岸域において過去数千年間の津波履歴を保存している湖沼を探してきた。このなかで、土佐市宇佐の蟹ヶ池に良い記録が残されている可能性が高いことが明らかになったため、平成21年度はこの池の調査を中心に研究を行った。 蟹ヶ池の湖底堆積物を採取、分析した結果、この池では過去2000年間に5回の津波イベントがあったことが明らかになった。これらのイベントは年代測定により、古い2つはそれぞれ紀元前後、西暦200~500年頃のイベントであり、新しい3つは西暦684年の天武地震、1099年の康和地震もしくは1361年の正平地震、1707年の宝永地震に対比できることが分かった。これはこれまで九州東岸の龍神池、四国南岸のただす池で明らかになっているイベントとよく一致しており、これら5つの地震が巨大型の南海地震であったことが確かめられた。さらに、四国南岸のただす池と蟹ヶ池では宝永地震の津波と紀元前後の津波が特に大きいが、九州東岸の龍神池では天武地震の津波が大きいという違いがあることが明らかになった。 津波堆積物の研究では、多くの試料を採取し、分析し、そして何よりも精度のよい年代測定を数多く行うことが必要である。本研究の経費の多くは放射性炭素年代測定に使用した。
|
Research Products
(2 results)