2007 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムと核オルガネラの統合的な理解に向けてのスモ修飾研究
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19310131
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
斉藤 寿仁 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (50211925)
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Keywords | 蛋白質 / シグナル伝達 / 生体分子 / 発生・分化 / 遺伝子 |
Research Abstract |
SUMO(Small Ubiquitin-related Modifier)は真核生物に広く存在するタンパク質の翻訳後修飾因子で、分子量は15kDaほどのユビキチンに類似した構造を有する。哺乳類では3つのSUMOパラログSUMO1、SUMO-2、SUMO3が知られており、SUMO1に比べて、SUMO2とSUMO3は高い相同性を有し、SUMO1とSUMO2/3パラログ間での機能的差異を生んでいる。SUMOによるタンパク質修飾は、細胞内におけるタンパク質の局在や相互作用の制御に重要な役割を果たすと考えられている。とりわけSUMO修飾を受けるタンパク質には、核内に存在しているものが多く、細胞増殖や分化の過程でダイナミックに変化するクロマチン構造・機能の制御に関わる例が数多く報告されてきている。当該年度に於いては以下の点について研究を行い、SUMO修飾の生物学的な意義について重要な知見を得る事ができた。1)ヒストンH3-K9メチル化酵素SETDB1のSUMO相互作用部位(SIM配列)を同定した。2)ヒストンシャペロンCAF1-p150のSIM配列を同定しだ。3)これらのことは、SUMO-SIM相互作用によるクロマチン動態制御の新しい分子ネットワークの存在を明らかにした事になる。4)現在に至るまで、発生とSUMO修飾の詳細な関係、発生におけるSUMOパラログの機能的差異は十分に明らかにされていない。5)日本で開発された脊椎動物のモデル生物であり、発生・分化などの研究に利用されているメダカ(Oryzias latipes)を用い、初期発生、特に受精後から初期胚の形成時、さらには器官や臓器形成におけるSUMO修飾の役割を明らかにする研究を開始することにした。まず第一に、メダカに於けるSUMO遺伝子と遺伝子の転写産物mRNAの検出と同定を行った。その結果、メガカにおいて4つのSUMO遺伝子とその転写産物を同定し、OISUMO1-4と名付けた。受精後0日目、3日目雌雄、6日目雌雄、9日目雌雄のメダカ胚から抽出した全RNAを用い、発生段階におけるSUMOパラログの発現量の変化をリアルタイムPCRによって定量的な解析を行ったところ、いずれのSUMOパラログも受精後0〜3日目において高い発現を示した。このことは、OISUMO1-4がそれぞれに発生に於いて生理的な意義を持つことを示すと考えられる。
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Research Products
(9 results)