2008 Fiscal Year Annual Research Report
外来個体群の侵入・分散に伴う淡水エビ類の遺伝子汚染と共生システムの撹乱に関する研究
Project/Area Number |
19310150
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Research Institution | Lake Biwa Environmental Research Institute |
Principal Investigator |
西野 麻知子 Lake Biwa Environmental Research Institute, 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 部門長 (60237716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大高 明史 弘前大学, 教育学部, 教授 (20223844)
池田 実 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (70232204)
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Keywords | 遺伝子汚染 / 外来個体群 / 淡水エビ / 外部共生 / 共生攪乱 / ヒルミミズ |
Research Abstract |
1.日本に侵入しているカワリヌマエビ属および共生動物の由来を調べるため、中国、台湾で現地調査を行った。その結果、中国福建省9地点、台湾島10地点でカワリヌマエビ属を採集し、福建省からは共生動物としてエビヤドリツノムシとエビヤドリモ、台湾からはエビヤドリツノムシとヒルミミズ類を確認した。ヒルミミズ類は台湾からの初記録である。台湾での調査によって、ヒルミミズの宿主はこれまで知られているカワリヌマエビ属だけでなくヌマエビ属にまで及んでいること、およびヒルミミズ類とエビヤドリツノムシ類とは同一のエビ個体上で共存する場合があることが確認された。 2.共生動物ヒルミミズの由来を調べるため、宮古島の地下水系で新たな調査を実施し、琉球列島に固有のサキシマヌマエビの体表からヒルミミズ類を採集した.このヒルミミズ標本は今後、形態観察とDNA解析によって、その分類学的位置を明らかにする予定である. 3.平成19度にCO I遺伝子の分析を行った日本および中国のカワリヌマエビ属標本について、16SrRNAの系統解析を行ったところ、CO I遺伝子と同様に全ハプロタイプがIとIIの2グレードから構成され、Iは国内めハプロタイプ(在来系統)のみ、IIは国内と中国のハプロタイプ(外来系統)で構成されることが再確認できた。さらに、1サイトの欠失・挿入によって簡単に両グレードを識別することが可能となった。また、福建省の9集団113個体についても同様の系統解析を行い、形態的特徴も併せて調べた。その結果、8集団のハプロタイプは全てクレードIIに含まれ、全ての雄の第3・4胸脚前節が湾曲し、外来個体群特有の形態的特徴を示した。しかし、残る1集団では全個体がグレードIのハプロタイプを有し、殆どの雄個体の前節は湾曲せず、日本在来のミナミヌマエビ亜種群に属することが示唆された。どの個体も在来亜種と酷似しており、もし、これらの集団が輸入され国内に放逐されれば、現状の形態や系統情報では捉えきれない侵入が起きる可能性があると考えられる。 4.カワリヌマエビ属の輸入実態および国内での販売ルートについて聞き取りを行った結果、主に関西国際空港を経由して輸入され、その後、釣り餌業者、ペットショップおよびインターネット販売の3ルートで日本全域に販売されていることが確認された。
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Research Products
(9 results)