2008 Fiscal Year Annual Research Report
旧ソ連圏アジア諸国・地方における歴史的伝統の再定義と学術・教育動向に関する研究
Project/Area Number |
19310151
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡 洋樹 Tohoku University, 東北アジア研究センター, 教授 (00223991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高倉 浩樹 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (00305400)
北川 誠一 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (50001813)
黒田 卓 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (70195593)
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Keywords | モンゴル / ウズベキスタン / アゼルバイジャン / グルジア / サハ共和国 / 歴史認識 / 学術・教育動向 / ポスト社会主義 |
Research Abstract |
旧ソ連圏に属するアジア諸国・地方としてモンゴル、ウズベキスタン、アゼルバイジャン、コーカサス及びロシア連邦サバ共和国を取り上げ、1990年代初頭の社会主義体制崩壊後の歴史認識及び学術・教育の動向について現地研究者の文献や文化的表象を素材として解明検討することを目的として、以下の研究を行った。研究代表者岡は1911〜1921年のモンゴル独立国家ボグド・ハーン政権に関する近年の公式歴史叙述の動向を解明した。黒田卓は近代初期におけるアゼルバイジャンの歴史、とくにギーラーン政権に関する歴史について検討しつつ、その近年の評価の動向を明らかにした。北川誠一はコーカサスに位置するグルジア・アルメニアにおけるロシア語教育をテーマとして、ロシア語話者人口の変化の状況を検討した。高倉浩樹はロシア連邦サハ共和国における近代における芸術表現における構造的変化を検討した。また本年度は現地研究者としてアゼルバイジャンとグルジアから歴史研究者を招聘して歴史認識の最新の動向についてレクチャーを受けた。これらから、これら諸国の近年の動向について、以下のような理解を得た。第一に、モンゴルやアゼルバイジャンなどにお民族史・国家史の枠組み自体が社会主義期に形成されたものである一方、グルジアにおいては、その古来の文明としての歴史認識枠組みが存在していること、第二に、民族の枠内での社会主義への発展の道を主軸としていた旧体制下における歴史認識に対して、近年は社会主義期を民族の歴史から逸脱した極左的時期として否定的に評価し、体制の崩壊を民族史の本道への回帰として位置づける傾向が存在すること、第三に社会主義体制崩壊後の民族主義的民族史研究・叙述の方法的基礎自体は、社会主義期の方法を継承している面が存在することである。以上のような理解から社会主義期からポスト社会主義への展開における変化の局面と連続性を統合的に理解することが可能となりつつある。
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Research Products
(6 results)