2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19310152
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 雄二郎 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (70190923)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川尻 文彦 帝塚山学院大学, 人間文化学部, 准教授 (20299001)
久保 亨 信州大学, 人文学部, 教授 (10143520)
竹元 規人 福岡教育大学, 教育学部, 講師 (80452704)
中村 元哉 南山大学, 外国語学部, 准教授 (80454403)
水羽 信男 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (50229712)
|
Keywords | 近代中国 / 現代中国 / リベラリズム / 自由 / ナショナリズム / キリスト教 |
Research Abstract |
今年度の活動実績は、次の三点に区分できる。 1、近代中国のりベラリズム思想の受容と展開を支えていたメディア・学術体制を解明。(1)近代中国メディア界の言論・出版活動の実態について、国際関係の視点をふまえつつ、詳細に分析。主たる分析対象は、清末の『国聞報』や民国期の著作権問題、新聞の「副刊」であった。〔村田・中村・小野寺〕(2)民国期の学術と政治の関係を分析。主たる分析対象は、1930年代から40年代にかけての中央研究院における学術の自由であった。〔竹元〕(3)民国期の各種の政治団体が有していた「自由主義思想」について分析。主たる分析対象は国民党内の「自由主義思想」であった。〔王奇生・汪朝光・中村〕 2、近代中国におけるリベラリズムとナショナリズムの関係性について考察。世界のりベラリズム思想が19世紀後半から1930年代にかけて変容していく中で、近代中国のリベラリズム思想の歴史的意味を問い直した〔川尻・久保・村田・章清〕。とくに、日中戦争期の「戦国策派」と戦後の『観察』の思想活動について再検討をおこなった〔水羽・柳〕。 3、キリスト教が近代中国のりベラリズム思想の展開に与えた影響について考察。楊天宏氏の研究成果を検討した際に〔大澤・土居〕、キリスト教精神とリベラリズム思想の展開とが文学活動を通じて接点を有していたことが明らかとなった。中国近代文学研究者との学術交流によって、この点を文学者の心性に即しながら再検討した〔小川利康・中裕史〕。 以上の研究成果の一端は、『ワークショップ報告集』(復旦大学、2008年9月)と『近きに在りて』(54号、2008年11月)特集号にまとめてある。これらの研究上の意義は、「国際性を有しつつ、近代中国リベラリズム思想研究に新たな視点を提起した」ことにある。来年度に開催する国際シンポジウムへの布石となった。
|
Research Products
(15 results)