2007 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化時代の民主化と政軍関係に関する地域間比較研究
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19310155
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉田 芳史 Kyoto University, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90197567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 真紀子 天理大学, 国際文化学部, 教授 (40248183)
河原 祐馬 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (50234109)
木村 幹 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (50253290)
村上 勇介 京都大学, 地域研究統合情報センター, 准教授 (70290921)
横山 豪志 筑紫女学園大学, 文学部, 准教授 (80320381)
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Keywords | 政軍関係 / 民主化 / クーデタ / グローバル化 |
Research Abstract |
民主化が軍隊に与えた影響、クーデタに対する国際的な抑制の2つに主眼をおいて、民主化と政軍関係について研究を進めた。とりわけ後者については、2006年9月19日にタイで勃発したクーデタでは国際的な抑制が効かなかったのかどうかを子細に検討した。その結果、確かに阻止はできなかったものの、民主化への圧力が国際社会から強く働いたことが判明した。クーデタ評議会はタックシン政権の支持勢力を根絶した後に総選挙を実施して民主政治へ復帰することを構想していた。ところが、総選挙が近づくにつれて、タックシン支持派の勢力が根強いことが明確になった。クーデタ政権の首相が先進国首脳と会談をもてず外国からの投資が冷え込むといったように外交面や経済面でのタイの孤立が深まる中、選挙の先送りや結果否定は一層の孤立を招くため採れない選択肢となった。評議会は、グローバル化が進む中での先進国からの直接・間接の圧力のゆえに、2007年12月23日実施の選挙でタックシン支持派が多数派を占め、クーデタの全否定が始まるのを甘受せざるをえなかった。このように、国際的な規制は十分に働いており、それゆえタイのクーデタは他国のクーデタの呼び水にはならないことが明らかになった。 本研究を通じて、アジアでもアフリカでもラテン・アメリカでも、民主政治に不満を抱く人々が多いことが分かってきた。しかし、この不満は軍隊の政治介入にはつながっていない。一因は上述の国際的な規制である。他方、軍隊内部の変化については検証中である。
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Research Products
(5 results)