2009 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本における「女性職」の形成・定着過程に関する実証的研究
Project/Area Number |
19310164
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
木本 喜美子 Hitotsubashi University, 大学院・社会学研究科, 教授 (50127651)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹谷 春美 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (00113564)
千葉 悦子 福島大学, 行政政策学類, 教授 (30217244)
高橋 準 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (70272094)
宮下 さおり 九州産業大学, 国際文化学部, 准教授 (30447586)
中澤 高志 大分大学, 経済学部, 准教授 (70404358)
|
Keywords | 女性労働 / ジェンダー / 女性職 / 戦後日本 |
Research Abstract |
最終年度にあたる平成21年度は、川俣町を中心とする文献資料の収集を継続し、女性労働者を中心とするインタビュー調査をさらに追求し、地域を基盤とするモノグラフを描くためのデータ収集を行った。またこれまで収集されてきたデータ分析のための研究会を積み重ね、まとめの方向性を確認した。 1.川俣地域を事例とする女性労働のあり方は、絹織物女工が三世代家族における嫁として、あるいは夫婦家族における共働きの妻として継続的に働き続け、家計を支える強力な存在として位置づいていた。男工は、監督者として女工とは異質な立場にあり、機屋の経営者とおかみは、それぞれに異なる位置関係にあったが、規模の小さい機屋の場合、おかみは女工同様に現場労働に従事して熟練性を高めることが求められていた。 2.これらの機屋のおかみがリードするかたちで、子どもを職場に連れてくる女工対策として保育所を求める動きがおこり、女工と保育労働者との接点ができあがった。相対的高学歴層の女性は、たとえ機屋の娘であっても女工とは別世界の住人であり、接点はほとんどなかった。以上が、地域内で展開する女性間関係の姿であった。 3.絹織物女工においては、三世代家族の場合は夫婦の収入を親世代に手渡して小遣いをもらうという慣行のもとにおかれていたものと、夫婦家族で自由な意志決定によって消費行動を決定できるものとでは大きなちがいがあった。後者は、共働きを支えるため、家電製品を次々に購入する積極的な行動パターンをとるものが少なくなかった。 4.この事例を中心とした女性職の形成過程について、(1)問題意識と方法、(2)労働市場の特質、(3)絹織物自営業者の経営と労務管理、(4)絹織物女工-家族と職歴-、(5)絹織物女工-職業と育児ケア-として学会で発表する(2010年11月)ため、データ分析を進めている。
|
Research Products
(20 results)
-
-
[Journal Article]2010
Author(s)
木本喜美子
-
Journal Title
『ジェンダー平等と多文化共生-複合差別を超えて』(第4章「『日本型均衡処遇』の意義と限界」を担当))(辻村・大沢編)(東北大学出版会)
Pages: 263 (73-98)
-
[Journal Article]2010
Author(s)
木本喜美子
-
Journal Title
"Gender Equality in Multicultural Societies", (Chap. 10, Balanced Treatment of Employees in Japan を担当)(Tsujimura M. & Osawa M. eds.)(Tohoku University Press)
Pages: 291 (185-215)
-
-
[Journal Article]2010
Author(s)
中澤高志
-
Journal Title
『経済地理学の成果と課題 第VII集』(「人口と雇用」を担当)(経済地理学会編)(日本経済評論社)
Pages: 384 (133-142)
-
-
-
[Journal Article]2009
Author(s)
木本喜美子
-
Journal Title
『よくわかる現代家族』(「女性の職場進出」、「都市労働者家族」、「企業社会と性別役割分業」、「階層と家族」を担当)(神原・杉井・竹田編著)(ミネルヴァ書房)
Pages: 227 (40-45, 48-49)
-
[Journal Article]2009
Author(s)
木本喜美子
-
Journal Title
『新編日本のフェミニズム13巻性役割』(「職場のジェンダー分析」を担当)(天野ほか編)(岩波書店)
Pages: 328 (267-274)
-
[Journal Article]2009
Author(s)
木本喜美子
-
Journal Title
『ジェンダー史叢書6 経済と消費社会』(「日本的雇用慣行とジェンダー」を担当)(長野・松本編著)(明石書店)
Pages: 305 (299-303)
-
[Journal Article]2009
Author(s)
笹谷春美
-
Journal Title
『介護予防-日本と北欧の戦略-』(第2章、第3章、第4章を担当)(笹谷・岸・太田編著)(光生館)
Pages: 150 (21-68, 70-84)
-
-
[Journal Article]2009
Author(s)
駒川智子
-
Journal Title
『大阪社会労働運動史 第9巻』(「金融再編のもとでの大阪の地域金融」を担当)(大阪社会労働運動史編集委員会編)(有斐閣)
Pages: 733 (112-129)
-
-
[Presentation] 総括討論2009
Author(s)
木本喜美子
Organizer
日韓非正規労働フォーラム
Place of Presentation
中央大學校 (韓国)
Year and Date
2009-12-05
-
-
-
-
-