2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19320009
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 敏文 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40215497)
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Keywords | インド学 / 印欧語比較言語学 / 宗教 / 神話 / ヴェーダ / リグヴェーダ / 讃歌 / 祭式 |
Research Abstract |
本研究はインド最古の文献『リグヴェーダ』(B.C.1200年頃編集,以下RV)の全訳計画(ハーヴァード大学のヴィッツェル教授と共編)中,研究代表者の担当分について助成を受けるものである。RV全10巻をドイツ語に翻訳し,ゲルトナーによるドイツ語全訳以後80年の間に,特に印欧語比較言語学の分野で達成された研究成果を中心に取り入れ,解説,注,語彙集を付して一般に利用できる形で出版を目指し,当初4年間で完成する予定であった。計画は遅れ,期間中には第1巻を出版するに留まった。現在第2巻(RV 3-5巻)を校正中であり,第3巻(RV 6-8巻)に向けて原稿を仕上げている。研究代表者は第7巻を担当する。計画の遅れには出版社の移転と代表者の交代,訳者の健康上の問題などが挙げられるが,本質的な原因は研究の深化と質の向上に求められる。RV研究全体としては順調な成果が挙げられたものと自負している。第1巻についてマイルホーファー(ウィーン)は「ヴェーダ学,インド・イラン学,印欧語比較言語学の巨匠二人の手になる今後数十年に亘るリグヴェーダ研究の基盤」と評した(書評:HS 121,2010,300-305)。今後,本助成の成果を基に作業を進め,2012年に第3巻,2014年までに最終巻(RV 9-10巻と全体についての概説・補遺)を出版する計画である。今後は,研究代表者が出版計画全体についてより大きな役割を負い,全体の質的向上と先行部分の改良にも労力を割く。RV研究に欠かせない基礎的作業として『古インドアーリヤ語歴史文法』(Old Indo-Aryan morphology and its Indo-Iranian background)を作成していたが,本研究計画に基づく成果として,オーストリア学士院から間もなく出版される。
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Research Products
(5 results)