2007 Fiscal Year Annual Research Report
「供養の文化」の比較研究をとおして見る「死」の表象の形成過程とその現代的変容
Project/Area Number |
19320016
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
中村 生雄 Gakushuin University, 文学部, 教授 (50217832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池上 良正 駒澤大学, 総合教育研究部, 教授 (60122925)
井上 治代 東洋大学, ライフデザイン学部, 准教授 (10408974)
岡田 真美子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (40185450)
佐藤 弘夫 東北大学, 文学研究科, 教授 (30125570)
松尾 剛次 山形大学, 人文学部, 教授 (30143077)
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Keywords | 供養 / 死 / 葬送 / 祭祀 / 環境 / 墓 / 霊魂 / 東アジア |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本における民俗宗教的な死者儀礼をささえる霊魂観や死後イメージの特徴を「供養の文化」という文化類型のもとに把握し、その歴史的・宗教思想的な形成過程を東アジア世界との比較研究をとおして解明すること、そして、今後の日本社会の動向においてそれがどのような意義と問題点をもつものであるかを、とりわけ現在大きく変容しつつある「死」の表象の行方を問うことを通じて、学際的・領域横断的に明らかにすることである。その方法として、(1):東アジア地域全般の死生観や死後イメージの多様性を「供養の文化」複合の視点に立って整理・検討すること、(2)日本における「供養の文化」の形成過程とその宗教思想上の意義と特質とを学際的に検討しなおすこと、(3)現代日本における葬送儀礼や墓制の急激な変容をとおして予測される「死」の表象の行方について、隣接東アジア諸地域での並行的な事例の実地調査を交えつつ比較検討すること、を予定している。 上記の目的に沿って実施した19年度の活動内容は、おおむね次のとおりである。 (1)韓国社会の葬礼文化の現状について実地調査を行ない、都市化によって儒教的な葬墓制が火葬へと大きく転換することで生じている死生観・家族観・共同体意識の急激な変化について検討した。 (2)中国・上海市における仏教寺院の死者供養儀礼について実地調査を行ない、文革によって中断していた中国社会の死者祭祀の現状について多方面の情報収集を実施した。 (3)「供養の文化」の日本的な特質として想定される動物供養の現代的な現象として大学病院や製薬産業において行なわれている実験動物慰霊行事をとりあげることとし、大正期に遡る大学医学部等での動物供養の実態とその宗教的背景について調査を開始した。 (4)そのほか、各分担者の専門領域内での「供養の文化」にかかわる諸問題について調査研究をすすめた。
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Research Products
(15 results)