2008 Fiscal Year Annual Research Report
「供養の文化」の比較研究をとおして見る「死」の表象の形成過程とその現代的変容
Project/Area Number |
19320016
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
中村 生雄 Gakushuin University, 文学部, 教授 (50217832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池上 良正 駒澤大学, 総合教育研究部, 教授 (60122925)
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Keywords | 供養 / 死 / 葬送 / 祭祀 / 環境 / 墓 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本における民俗宗教的な死者儀礼をささえる霊魂観や死後イメージの特徴を「供養の文化」という文化類型のもとに把握し、その歴史的・宗教思想的な形成過程を東アジア世界との比較をとおして解明すること、さらに、今後の日本社会の動向においてそれがどのような意義と問題点をもつものであるかを、とりわけ現在大きく変容しつつある「死」の表象の行方を問うことを通じて、学際的・領域横断的に明らかにすることであった。年度後半には代表者が体調不良で入院となったが、分担者・連携研究者のサポートによって、所期の成果を達成することができた。 20年度の実績として、まず「供養の文化」の歴史的形成過程については、縄文時代から古墳時代に創出されたとみられる死者供養的な儀式、日本独自といわれる中世の五輪石塔、供養文化の普及に貢献した琵琶法師の役割、などに焦点を合わせた研究成果が蓄積された。新発見となった伊勢弘正寺の五輪塔は、伊勢市の文化財にも認定されることになった。東アジアとの比較では、日本における動物供養儀礼と、日本占領下に始められた韓国における実験動物供養との比較研究を、現地調査によって進めた。「供養の文化」の現代的変容については、死者供養仏教の興隆が注目される沖縄県、土葬から火葬への変化や、儒教的習俗の著しい変化がみられる韓国都市部などにおいてフィールドワークを行なった。さらに、中国沿岸の経済先進地域の仏教寺院や道教廟における冬至の死者供養儀礼、墓苑における落葬(納骨)儀礼などの実態について現地調査を行なった。これらの詳細は、学術論文・学会発表等で順次公表する予定である。
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Research Products
(4 results)