2008 Fiscal Year Annual Research Report
「もの」とイメージを介した文化伝播に関する研究 ―日本中世の文学・絵巻から―
Project/Area Number |
19320022
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
池田 忍 Chiba University, 文学部, 教授 (90272286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴 佳世乃 千葉大学, 文学部, 教授 (60235562)
久保 勇 千葉大学, 大学院・人文社会科学研究科, 助教 (10323437)
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Keywords | 美術史 / 文学一般 / 日本史 / 絵巻 / ジェンダー |
Research Abstract |
平成20年に計画していた北米各所に所蔵される絵巻、物語を主題とする屏風絵調査は、先方との日程調整の結果、平成22年1月11日(月)から16日(土)までの滞在期間に実施した。調査対象とする作品は、主として二つのテーマに絞った。すなわち本研究が重要な課題とする(1)合戦を主題とする絵画(2)異界の描写を含む絵画である。今回の調査は、上記の目的に沿って研究代表者、および連携研究者、研究協力者が協力して携わり、異なる視点からの知見を得た。 12日は終日、メトロポリタン美術館にて資料熟覧調査(「北野天神縁起絵巻」(五巻)および「保元・平治物語図屏風」の描写の細部と場面構成を精査)した。また、前日および最終日の15日には、同館のMasako WATANABE氏(Senior Research Assoiate)、Snead Kehoe(Assistant Curator)との作品および資料に関する意見交換をおこなった。13日(水)には、ジョン・C・ウェーバー氏コレクションの資料熟覧調査「時代不同歌合絵巻」(二巻)「源氏物語歌合絵巻」の細部表現の特徴を精査した。14日(木)は、M&Jバークコレクションの資料調査(「春日宮曼荼羅」、「北野天神縁起絵巻」(一巻)の細部表現の精査)。GRATIA(SANDY)WILLIAMS氏(M & J BURKE FOUNDATION Curator)同席のもと調査を実施、意見交換等をおこなった。 以上の調査研究は、本科研費助成研究の成果報告書『「もの」とイメージを介した文化伝播に関する研究-日本中世の文学・絵巻から-』における分析に生かされ、物語絵画に描かれた場の型、もの、人物の描写を手がかりとした絵巻の分析に大きな成果をもたらした。 先行研究が提示する知見については調査の事前準備として周到な検証を重ねたが、現地調査を経て細部表現についての考察が著しく深まった。撮影した画像データの整理・分析も進展した。
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