2007 Fiscal Year Annual Research Report
欧州・朝鮮・南洋航路を中心とする戦間期日本における旅行記の比較文化的研究
Project/Area Number |
19320049
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
橋本 順光 Yokohama National University, 教育人間科学部, 准教授 (80334613)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大東 和重 近畿大学, 語学教育部, 講師 (60434859)
鈴木 禎宏 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創生科学研究科, 准教授 (80334564)
須藤 直人 立命館大学, 文学部, 准教授 (60411138)
西原 大輔 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (70286110)
山中 由里子 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 助教 (20251390)
|
Keywords | 日本郵船 / 欧州航路 / 日韓航路 / シンガポール / 台南 / 南洋 / 中東 / マルセイユ |
Research Abstract |
今年度は3回研究会を行い、橋本、大東、西原が研究成果を発表した。研究会では、欧州・朝鮮・南洋航路について調査結果や意見を活発に交換しあい、研究方法と問題意識の共有をはかった。 第1回研究会では、欧州航路の文化史的意義を橋本が概説し、戦間期に多く刊行された旅行記について比較研究の可能性を指摘した。その成果の一部として、英国の画家ブラングィンについて一文を発表し、川崎造船所社長であった松方幸次郎との交友に関連して、周辺事実を発掘した。 第2回研究会では、日本の植民地支配下にあった台湾の古都台南における日本人の異文化体験や都市表象について、大東が発表を行なった。また、ペナン島の表象についても、調査経過の報告が行われた。その成果の一部は、前嶋信次の台南体験を分析した論考にまとめられた。 第3回研究会では、西原が、平安時代から昭和に至るまでの、シンガポールとかかわった日本人の系譜について、発表した。その成果の一部は、二葉亭四迷、荻須高徳、和辻哲郎、川喜多半泥子のシンガポール体験を分析した四つの論考として発表された。南洋については、須藤が、紀行文から歌謡、漫画、学校教材、案内書にいたるまで幅広い資料収集と分析を行い、マルセイユについては、児島が、福沢諭吉、成島柳北、森鴎外、島崎藤村、和辻哲郎、横光利一など開国以来欧州航路経由でマルセイユにて上陸した日本人の旅行記を比較検討した調査を行い、それぞれその成果の一部が刊行された。 また、中東を旅行した日本使節団の記録と和辻哲郎の中東観の比較、朝鮮の王である李王垠が「グランドツアー」に出たときの航路と一般の朝鮮航路との対比、東西融合論をふまえた欧州航路と戦間期日本の心象地図との対応について、それぞれ基本的な調査が、山中、李、鈴木によって進められた。
|