2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19320060
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金水 敏 Osaka University, 文学研究科, 教授 (70153260)
|
Keywords | 役割語 / キャラクター / ステレオタイプ / ポピュラーカルチャー / 日本語教育 / 社会言語学 / 放送 / ピジン |
Research Abstract |
本年度は、金水を中心に、役割語とキャラクターについての研究・考察を深めた。具体的には、疑似ピジンを話す中国人キャラクターがどのように生まれ、またどのように変遷していったかという問題を、ポピュラーカルチャー作品資料、歴史資料を中心に題材を集めて検討した。その結果、幕末から明治にかけての開国当初は好奇の目で描写された中国人が、日清戦争を契機に侮蔑的な表現の中で描かれるようになり、戦後もその傾向は続くが、やがて中国服を着た少女の描写が主流になることなどを突き止めた。このような実態をもとに、役割語とキャラクターの関係について、理論的な考察も進めた。キャラクターとは仮想現実内における人格的存在と規定でき、類あるいはグループと個人との境界がもともと曖昧であるという仮説を得た。その他、研究協力者の渋谷による社会言語学的考察、勅使河原三保子による音声学的考察、岡崎友子による幼児語の研究、また定延による日常言語における発話キャラクタの考察などが進められたが、これらの成果は、3月28日・29日に神戸大学で実施されたシンポジウム・研究発表会「役割語・キャラクター・言語」で一般公開された。この場では、研究代表者・協力者の他、テーマに感心を寄せる様々な専門性を持つ方々を集めて研究発表・パネルディスカッションを展開した。具体的には、マンガ評論家、日本語教育者、劇作家、社会学者、放送関係者等である。また、役割語を題材とする演習を受講した学生による発表も含め、役割語の高等教育による実践例を提示する試みもなされた。
|
Research Products
(16 results)