2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19320060
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金水 敏 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70153260)
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Keywords | 役割語 / キャラクタ / ステレオタイプ / 日本語教育 / 言語獲得 / 心理実験 / スペイン語 / 対照言語学 |
Research Abstract |
1. 「役割語の認知とその発達」連携研究者の松井智子氏、研究協力者の菅さやか氏の協力のもと、役割語知識の獲得について、幼児を対象とした予備的な実験を行った。5つの人物像の類型を表現したイラストと、同一のセリフを音声、語法を変えて録音した音声刺激のマッチングを行わせるもので、3歳児と5歳児を対象に実験を行ったところ、3歳児には難しく、5歳児はほぼ完壁に課題をこなせることが判明した。今後は、音声刺激のうち、語彙・語法的な部分と、テンポ、声質等音声的な部分のうちどちらが判断に強い影響を与えるかといった詳細な情報について実験手法を工夫しながら探求して句必要がある。 2. 「役割語の対照言語学的研究」個別の役割語の記述としては、研究協力者の福嶌教隆氏がスペイン語の役割語について報告を行った。 3. 「役割語を巡る作品と享受者のインタラクション」金水は、性差の役割語と現実の話者のスピーチスタイルの関連について研究を行った。 4. 「日常談話における役割語の運用」役割語に対応する人物像=キャラクタについては、連携研究者の定延氏が精力的に整理を行い、「私たち」と「異人」、さらに「私たち」を年、性、品、格で分類する視点を示した。さらに定延氏は、文法が発話キャラクタによって変異する考え方も示した。 その他、教育面では、連携研究者の鄭恵先氏、研究協力者の恩塚千代氏が、日韓・韓日翻訳教育のためのソーシャル・ネットワークを立ち上げ、学習者が相互に学び合う様子を報告した。 これらの成果は、2011年2月5日、6日に行われた公開シンポジウムで発表された。また「国際的研究ネットワークの構築」として連携研究者の勅使河原三保子氏と共著で英文論文を執筆・投稿した。
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Research Products
(14 results)