2009 Fiscal Year Annual Research Report
多文化共生社会におけるビジネス共生日本語教育の構築と教員養成に関する研究
Project/Area Number |
19320075
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
岡崎 眸 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (80223999)
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Keywords | 社内コミュニケーション / ビジネス日本語 / 在台湾日系企業 / PAC分析 / インタビュー調査 / 合意形成 / 問題認識 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
1.在台湾日系企業で働く従業員の社内コミュニケーションに対する認識のちがい 在台湾日系企業9社でインタビュー調査とPAC(個人別態度構造)分析を実施し、その中から社内コミュニケーションに「問題がない」と語られたA社と「問題がある」と語られたB社を取り上げ、社員が社内コミュニケーションに対してどのような認識を持っているかを明らかにした。分析の結果、A社は「報・連・相」をはじめとする全社的な取り組みで、意思疎通を図るさまざまな機会や方法を設けており、社員がお互いを尊重、信頼しあっている様子が伺えた。A社では、社員が互いの差異を承認した上で、共通認識をつくるための場を積極的に持っており、協働の原理が働いていると推測される。一方、B社の社員の語りからは社員が孤立しやすい環境が窺えた。B社の日本人社員が台湾人社員に対して否定的な感情を持つのは、社内で共通認識や合意形成の場を持ちにくいことと関係があると考えられる。 2.在台湾日系企業社員は社内コミュニケーションの問題をどう捉え、対処しているか 通信機器メーカーの在台湾日系企業4社を対象にインタビュー調査を行い、日本人駐在員と現地社員がどのようにコミュニケーション上の問題を捉え、対処しているかを分析した。日本人社員による問題の捉え方の特徴として見られるのは、「中華思想的なロジックで話を進める」「短期的な利益を確定したがる」などのように、中国圏に対するステレオタイプ的な表現で語られている点である。一方、台湾人社員は日台双方の業務遂行について問題認識を持っていた。また、社内コミュニケーションにおいて認識された問題に対し、台湾人社員が日本人社員のやり方に近づこうとする歩み寄りのストラテジー(conversion)を示す一方、日本人社員は分離のストラテジー(diversion)を示す傾向があった。
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Research Products
(4 results)