Research Abstract |
第一年度は,海外取材で東京裁判,BC級裁判の一次資料を収集することに努めた。研究代表者の粟屋は,会議の場において,研究分担者それぞれの問題関心を取りまとめ,調査先を選定した。その上で粟屋は,中国とフィリピンで,戦犯裁判に関する重要資料をコピーした。また,中国では東京裁判研究者の宋志勇(南開大学助教授)に,中国での東京裁判研究の最近の成果を話してもらった。またフィリピンでは,フィリピン国立史料館とマニラ大学図書館で資料収集にあたった。林博史は,アメリカ,イギリスの国立公文書館で,連合国戦争犯罪委員会(UNWCC)の大部の資料をデジタルカメラで撮影した。またマニラでは,BC級裁判,特に山下裁判と本間雅晴の資料を収集した。永井均は,マニラで東京裁判とBC級裁判における,フィリピン側の新資料を多く収集した。内海愛子は,オーストラリアに赴き,国立公文書館,戦争記念館において,BC級裁判,主に泰緬鉄道に関する新資料を多く収集した。伊香俊哉は,林と同じくアメリカ国立公文書館で戦争犯罪委員会の資料を収集しつつ,台湾に資料収集に行き,国史記念館の外交資料を検索し,その結果,東京裁判とBC級裁判における,国民党政府の動向に関する重要資料を多く入手した。 総じて,第一年度において,貴重な戦犯裁判に対する重要資料を収集することができた。この資料収集は,東京裁判及び,BC級裁判の研究史に大いに寄与するものである。本年度調査において,海外取材で新資料を収集するめどがたったため,来年度も引き続き収集に努める。
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