2010 Fiscal Year Annual Research Report
北東アジア史からみた中世アイヌ文化形成過程の考古学的研究
Project/Area Number |
19320124
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
熊木 俊朗 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (20282543)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大貫 静夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (70169184)
|
Keywords | 考古学 / 中世アイヌ文化 / オホーツク文化 / 擦文文化 / 北東アジア史 |
Research Abstract |
1.常呂川下流域における擦文文化集落遺跡の発掘調査 オホーツク文化と擦文文化の関係や、擦文文化の終末過程に関するデータを収集するため、北見市大島2遺跡にて擦文文化の竪穴住居(1号竪穴)の発掘調査を実施した。本遺跡は周辺の擦文文化集落にはない立地上の特徴、すなわち標高の高い丘陵上に位置するという特異な遺跡であるが、これまで発掘調査はおこなわれてこなかった。今回、初めて発掘調査をおこなった結果、以下の2点が明らかになった。(1)擦文文化後期(11世紀後半前後)の竪穴住居を含む集落遺跡であること。(2)廃絶時に火を受けた焼失住居を含んでいること。(1)については、大島2遺跡の存続時期が、周辺の標高の低い擦文文化集落とほぼ同時期であることを解明した成果といえる。すなわち、常呂川下流域では標高の高い地域の開発もオホーツク文化の撤退後におこなわれたことが判明した。(2)については、焼失住居は常呂川より西側の低地における擦文文化集落遺跡ではあまり認められない特徴である一方、常呂川の東側では相対的に高い、というこれまでの傾向を追認する結果となった。住居の焼失はオホーツク文化で頻繁に認められる現象であるとともに、アイヌ文化の「家送り」儀礼にも繋がる現象として注目されており、アイヌ文化の形成過程に関する議論に一石を投じる成果となった。 2.オホーツク文化の遺跡から出土した各種資料の分析 オホーツク文化の集落遺跡である北見市トコロチャシ跡遺跡と、前述の大島2遺跡から出土した土器・石器等の考古資料の整理・分析をおこなうとともに、遺跡から採取した炭化木材、炭化種子、動物遺存体などの試料について同定と分析をおこなった。
|
Research Products
(3 results)