2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19320138
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本田 洋 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (50262093)
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Keywords | 社会人類学 / 生活実践 / 移動 / 開発 / 産業化 / 韓国 / 共同体 / 帰農 |
Research Abstract |
当該年度の主たる実績として,(1)産業化の過程における生活実践の持続性と変化についての民族誌的,ならびに理論的検討(研究代表者),(2)南原地域の帰農者と代案的生活運動についての現地調査と資料収集(研究代表者),(3)大都市周縁部における産業集積の可能性についての現地調査と資料収集(連携研究者),(4)鶏龍山,済州島北部地域,淳昌地域における地域開発と生活実践についての現地調査(研究協力者2名)を挙げられる。以下にその梗概を記す。 (1)南原地域農村部を事例として取り上げ,人口センサス資料の分析から導かれた産業化過程での人口移動の諸類型を現地調査で収集した生活史資料と対照分析することによって,a)産業化期に特徴的な生計資源へのアクセスを目的とする移動の諸類型が,近現代の地方社会に暮らしてきた人たちによって,生き方のレパートリーとして産業化以前から共有されていたこと,b)産業化過程での生活の不可逆的な変化は,生活実践の持続性と生活の諸資源の構築・配置との相関性において説明しうること,が明らかになった。そして,近代的な開発実践は,生活実践と生活資源の構築の両方との密接な関連性のなかで理解すべきであることを示した。 (2)前年度からの継続で,当該年度は特に運動の精神的指導者である仏教僧と活動家を中心にインタビューと参与調査を実施し,代案的生活運動の歴史と進行中の試みについて資料を収集した。 (3)ソウル近郊の木工団地の形成過程の調査を通じて,社会的弱者に対する行政や宗教団体の非公式的な支援と産業拠点の形成の関係,ならびに産業集積度の弱い拠点形成といった特徴を発見し,韓国の産業化との相関性を検討した。 (4)ポスト産業化状況での地域開発と宗教実践についての諸事例を収集した。
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