2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19320138
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本田 洋 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (50262093)
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Keywords | 産業化 / 韓国 / 持続 / 移動 / 農民社会 / 都市新中間層 / 歴史人類学 / 産業集積 |
Research Abstract |
(1)現地調査と資料収集:本田は,前年度に引き続き,主として韓国南原山内地域一帯への移住者(帰農者)とその共同体構築についての現地調査を行い,都市から農村への移住が,都市中産層的なステータスと競争主義への反動によって強く動機づけられている点と,中産層的な職業・運動経験と社会的な諸資源を活用して,オルターナティブな生き方の組み立てと共同体構築,ならびに諸社会運動の実践が行われている点を明らかにした。また当該年度の調査で,移住時期による動機づけや生き方の志向性の違いも発見した。連携研究者(伊藤亜人)は,産業集積という観点から,韓国の伝統的手工業と都市近郊木工団地の産業化について調査したが,集積効果が見られない点が,むしろ韓国の周辺的な工業の特徴であることを明らかにした。(2)統合的視座の構築:産業化とポスト産業化を再定義したうえで,(1)社会文化的側面における産業化の影響を,近世以来の農民社会の持続性,特に移動と生活基盤の確保という問題系の再生産を基調として理解する視角を構築するとともに,(2)製造業を主体とする国民経済への再編成という狭義の産業化の帰結であるポスト産業化的状況で展開されつつある諸社会文化実践を,産業化以前からの社会文化的持続性,資本主義的な経済活動を中心とする社会文化の再編成,ならびに産業化の枠内に留まらない政治経済的諸条件の変化が交錯する中での主体的かっ創造的な活動として捉える観点を築いた。(3)以上の作業を総合し,成果報告書を作成した(A4版約250頁,インターネット上で利用制限を付けて公開予定)。
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