2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19330016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塩見 淳 Kyoto University, 法学研究科, 教授 (00221292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒巻 匡 京都大学, 法学研究科, 教授 (50143350)
高山 佳奈子 京都大学, 法学研究科, 教授 (30251432)
安田 拓人 京都大学, 法学研究科, 教授 (10293333)
堀江 慎司 京都大学, 法学研究科, 教授 (10293854)
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Keywords | 組織的犯罪 / 国際犯罪 / 重罰化 / 没収・追徴 / 犯罪収益 / 共謀 / 証拠開示 / 量刑 |
Research Abstract |
近年、日本においては多数の刑事立法が行われているが、その特徴は、「国際化への対応」と「世論への対応」を中核とする「政治」主導にあるといえ、組織犯罪対策法もその主要な一例をなす。しかし、十分な理論的検討を経ることのない、国際化や処罰感情を御旗にした拙速な犯罪化・重罰化は民主主義や刑法の謙抑性を不当に損なうことが指摘された(高山「『政治』が主導する近年の日本の刑事立法」月旦法学雑誌(台湾)172号)。 組織犯罪への対策としては、犯罪収益を組織に残さないことが重要である。そのための手段として没収・追徴が規定されているが、「犯罪収益」の意義に関する最高裁判例の分析を通して、再投資等の危険性を防止する必要などから共犯者間において収益の分配や報酬の支払いがなされた場合にどのように没収・追徴がなされるべきかについて見解が示された(安田「犯罪収益の没収・追徴」研修742号)。 犯罪が組織的に、複数の人の共働により遂行された場合、刑事手続の様々な場面においても特殊な考慮が要請される。そこで、「共謀」の事実を起訴状にどのように摘示すべきかを、訴因の明示・特定の問題について新たに構築した判断枠組みに基づいて提示し(堀江「訴因の明示・特定について」研修737号)、公判前証拠開示手続において複雑な共犯関係や多数に及ぶ財政経済関連証拠がどのように扱われるべきかの指針を同手続の原理面からの分析を通して明らかにし(酒巻『刑事証拠開示の理論と実務』「第1章 証拠開示制度の構造と機能」)、量刑事実の証明責任・証明方法・証明水準についての考察を通して、組織犯罪においても問題となる量刑手続に関する理論的基礎の構築が試みられた(堀江「コメント・杉田宗久『量刑事実の証明と量刑審理』について」判例タイムズ1313号)。
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Research Products
(4 results)