2009 Fiscal Year Annual Research Report
インドにおける消費パターンの変動と経済成長、1950-80年:中下層階層を中心に
Project/Area Number |
19330074
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
柳澤 悠 Chiba University, 法経学部, 教授 (20046121)
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Keywords | 国際研究者交流 / インド / 消費 / 生活スタイル / 教育 / 経済成長 / 非農業雇用 / 都市化 |
Research Abstract |
1.本年度は、昨年度に引き続き、タミル語雑誌"Kumutam""Ananta vikatam"(1950-70年代)掲載広告を分析をした。さらに、テイルチラーパッリ県村落で収集した世帯データの電算機への入力と分析を行った。インド・チェンナイの研究所より研究者を招へいし、これらの分析結果と成果を検討するワークショップを開催した。 2.これらの分析を通じて、次のような知見を確認した。 (1)1980年の前回調査と比して、2007-8年時点には、村落内のすべての階層やコミュニティにおいて非農業就業が最も重要な収入源となるなど、職業上の変化は顕著である。ただ、指定カーストにおいては、就業者数に関してはその過半は農業賃労働者であることは、留意する必要がある。 (2)指定カースト成員を含め耐久消費財の浸透は顕著である。扇風機やガス調理セット、テレビ、携帯電話などの普及率は高く、バイクも2-3割の世帯が所有している。ただ、普及率にはコミュニティによる差異が存在する。また、電力、水道、家屋の改築などの面でも28年前と格段り改善がみられた。 (3)下層階層の一部も都市の私立小学校に子供を通学させたり、村内の結婚式場で結婚式を行い始めるなど、教育面や生活スタイルの面でも顕著な変化が生じつつある。 (4)2000年以降は、指定カースト成員が、ほかのカースト成員とともに、巡礼旅行に行き始めるなど、宗教活動上の変化が生じた。 (5)都市近郊の農村地域の一部は都市通勤民の居住地域化するなど農村社会の非農業化が生じている。 (6)広告の分析から、こうした消費生活の変化は1950年代から70年代にかけて始まっていることが推定される。 (7)また、巡礼参加者の拡大にともない、聖地の発展や「奇蹟の商品化」が進んだ。
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Research Products
(8 results)