2008 Fiscal Year Annual Research Report
近世村落社会における土地所有の実証研究-越後「割地」制度を中心として-
Project/Area Number |
19330079
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
山内 太 Kyoto Sangyo University, 経済学部, 教授 (70271856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷部 弘 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50164835)
高橋 基泰 愛媛大学, 法文学部, 教授 (20261480)
佐藤 康行 新潟大学, 人文学部, 教授 (40170790)
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Keywords | 土地所有 / 割地 / 村落 / 家 / イエ連合 / 同族 / 共同性 / 治水 |
Research Abstract |
本年度においても、昨年度に引き続き、在地における資料調査・収集、データー整理を中心に作業を行った。特に新潟市西蒲区中郷屋並びに福井を調査対象地の中心と定め、中郷屋の旧家に保存されている資料や、福井集落センターに保管されている区有文書並びに巻郷土資料館に保管されている庄屋文書等を集中的に調査・収集した。その他新潟市角田浜、同市津雲田といった同区内旧家にも資料調査を行った。これらの資料調査を通じて、例えば人口動態関係資料や士地所有・移動関係資料、古地図、あるいは年貢賦課徴収関係資料を通じて、各村落内部の構造を明らかにすることが可能となった。さらには各村落の有力者が残した日記や備忘録から、近世末期における当該地域の社会経済情勢が窺われると共に、村役人が行っていた様々な業務・役割についても明らかになるであろう。加えて各村落内の様々な動き、活動、繋がり、家連合の有様を浮かび上がらせることも可能となった。 つまりこれらの資料から、各村落の社会的・経済的構造を明らかにし、その村落的共同性を明らかにすることが可能となりつつあり、その共同性の観点から、近世村落社会における土地所有、とりわけ割地制度の実態・本質に、今後迫ることができるのではないかと期待している。 その際やはりこの地域が低地であり、また水害常習地であって、水や川をめぐる苦闘、それらとの密接な繋がりを保持していたことが忘れられてはならないと感じられた。そこで独自の河川論、河川と人との付き合い方を主張されている、新潟大学名誉教授大熊孝氏をお招きしてセミナーを開催し、意見交換を行った。この意見交換を通じて、川・水流についての多くの知見を得ることができ、今後の研究進展にあたって大きな意義を持った。
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