2009 Fiscal Year Annual Research Report
近世村落社会における土地所有の実証研究-越後「割地」制度を中心として-
Project/Area Number |
19330079
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
山内 太 Kyoto Sangyo University, 経済学部, 教授 (70271856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷部 弘 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50164835)
高橋 基泰 愛媛大学, 法文学部, 教授 (20261480)
佐藤 康行 新潟大学, 人文学部, 教授 (40170790)
村山 良之 山形大学, 大学院・教育実践科, 教授 (10210072)
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Keywords | 土地所有 / 割地 / 村落 / 家 / 家連合 / 近世 / 共同性 / 環境 |
Research Abstract |
本年度は、特に最終年度ということもあり、新潟市西蒲区中郷屋の旧家に所蔵されている資料を集中的に調査・収集した。特に明治初期、地租改正前後の土地所有に関する資料が大量に残存しており、それらのデジタルカメラ撮影を行った。現在それら資料を基にするデータベースを作成中である。同時に当時作成された、村内全体の田畑一筆ごとの番号が付された地図を発見し、これもデジタル化を行った。しかもこの地図の基となったと考えられる台帳も発見されており、この両者を突き合わせることによって、旧中郷屋村耕地の、明治初期における所有、土地等級、面積等を地図空間上に浮かびあがらせることが可能となる。加えて明治初期、この村において最後に行われた割地に関する資料も残存していた。この資料を用い、所有者等を手掛かりとして、上述の地図空間上に、割地による所有状況を再現し、割地によって各村人に村内のどのような地区・等級の土地が割り当てられていたのか、地図上においても明らかとなる。こういった作業を通じて、今後割地が行われていた意義について迫ることができると期待している。 さらに現在、宗門帳を用いてこの村の人口動態等に関するデータベース化がすすめられているし、また日記資料等を用いて、この村における家々の関係についても具体的に明らかになりつつある。これらの作業を、上述の土地所有・割地のデータベースと重ね合わせることによって、共同所有の一典型と従来みなされがちな割地制度について、村落社会、家々との関係をも含めたその実態や意義を全体的に明らかにする準備が整いつつあると言える。 最後に、かつて同じ新潟市西蒲区の村を、歴史地理学的視点から分析された、歴史地理学者野間晴雄氏を囲んでの研究会を行うことができた。氏との意見交換を通じて、この地域の環境が、この地域の生業、社会に大きな影響を及ぼしていたことを再確認することができた。
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