2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19330139
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山岸 俊男 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 教授 (80158089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
結城 雅樹 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (50301859)
神 信人 淑徳大学, 総合福祉学部, 准教授 (30296298)
渡部 幹 早稲田大学, 高等研究所, 准教授 (40241286)
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Keywords | 協力行動 / 集団間葛藤 / 集団内行動 / 集団間行動 / 一般交換 / 適応 / 進化 / 文化 |
Research Abstract |
2008年度には、二つの研究目的である「内集団信頼と内集団ひいき」及び「集団間攻撃の適応的基盤」のそれぞれについて実験研究を進め、以下の成果を得た。まず第1の研究目的に関しては、自集団成員に対する信頼が他集団の成員に対する信頼に比べて高まる「内集団信頼」が生じるのは、信頼する相手が自集団ないし他集団の相手であるという事実のみでは不十分であり、相手が集団所属性情報を用いて同様に自分に対して内集団ひいき的に行動するであろうという期待が成立している必要があることを明らかにした。また、こうした内集団への信頼を生み出す心理メカニズムとして、集団内部において協力的な人間であるという評判を維持するための「評判管理」メカニズムが想定されることを、理論的かつ実証的に明らかにするための実験を実施している。第2の研究目的に関しては、これまでの研究で集団間攻撃の背後にある心理メカニズムとして想定されてきた「連合形成のための心理メカニズム」が、実は他集団からの搾取を事前に予防する機能を主として担っており、他集団への搾取的攻撃行動を生み出しているわけではないことを明らかにするための実験を実施した。この実験の結果はこの予測を支持する結果を生み出しており、集団間攻撃についての新しい理論的パースペクティブを切り開く重要な研究となっている。またこの研究の結果は、集団内での評判を高めるための心理メカニズムが、他集団に対する集団全体の評判を維持するための心理メカニズムとどのように関連しているかを明らかにする必要性を示唆しており、今後の研究の方向づけに重要な意義を持っている。
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