2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19330141
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
村田 光二 Hitotsubashi University, 大学院・社会学研究科, 教授 (40190912)
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Keywords | 自発的感情推論 / 再学習パラダイム / 視点取得 / 状況への注目 / 感情予測 / 満足感 / 心理的免疫システム / 選択の変更可能性 |
Research Abstract |
平成19年度はまず、日本心理学会のワークショップ「共感性と社会的認知」の中で小森が、「状況からの自発的感情推論-共感の認知的側面の実証的検討」と題して、これまでの研究の概観を発表した。また、村田は指定討論者として各話題提供者にコメントするとともに、社会的認知研究において共感性および自己と他者の感情推論の位置づけについても論じた。次に、社会的文脈情報に基づく他者についての自発的感情推論の研究では、再学習パラダイムに基づく実験を実施して、小森が日本社会心理学会で口頭発表した。この研究では、相手の感情を意識的に推論しようとするよりも、相手の視点を取得して状況に焦点を当てた方が、感情推論が促進されるという興味深い結果も得られた。自己についての感情予測の研究では、商品の選択場面での変更可能性を操作して、満足感の予測と実際に及ぼす影響を検討した。その結果、変更が可能な場合の方が不可能な場合よりも高い満足感が予測されるが、実際には不可能な場合の方が選択の満足感は高まることを示唆する結果を得た。変更不可能な場合の方が、心理的免疫システムが働いて選択の正当化が起きやすいからだと推測される。この研究は道家が日本社会心理学会で口頭発表した。この学会期間中には、村田が「社会的認知セミナー」を学術総合センターで開催し、本研究に関心を持つ全国各地の研究者と討議することができた。以上に加えて、他者についての「勇気の錯覚」を実証する現場研究と、意思決定における後悔感情の働きに関する実験研究を実施して、小森と道家がアメリカの性格と社会心理学会で発表した。この学会では、予測感情の働きについての興味深い研究発表も多く、最新の情報を多数得てきた。また、音声情報による刺激材料などを作成して、平成20年度の実験研究の準備を進めた。
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Research Products
(5 results)