2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19330168
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋田 喜代美 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (00242107)
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Keywords | 移行 / 幼小連携 / 人事交流 / 幼稚園 / 小学校 / 保護者調査 / 縦断研究 / 環境移行 |
Research Abstract |
1幼小移行縦断研究に関しては、日本データ78名の子どもの縦断データに関して、描画と語りの分析を実施した。描画に関しては、大人は一般に小学校という場の象徴を机や教科書、黒板等で表象しているが、実際に描かれた道具を遊具と教具にわけると、小学校でも教具より遊具を描く者の数が多く、また学校間差がみられることが明らかなとなった。また語りに関しては、遊具の有無、給食と弁当の差異等「物理的相違」を語る者が多く、「活動内容」の相違や「主観的感情経験」を語る者は少ないという特徴が3地域共通に見られた。場から子どもはまず幼小の相違を捉えていることが明らかになった。そして主観的経験としての心配・不安はどの園でも少数名ではあるが共通に挙げられたのが、教師に怒られないかということと給食が食べられるかの2点であった。また園差がみられたのは友達や勉強等の活動であった。ここからは幼児に小学校にむけての期待がどのように提供されるかの重要性が指摘できる。移行で両文化の違いを受容しながら、入学2ヵ月後には学習はまだ必ずしも象徴的には子どもに認識されたり語られていないことが示された。 2教師の人事交流分析に関しては、幼稚園から小学校への移動2名、小学校から幼稚園への移動2名について4年間の経験に関する語りの質的分析を行った。その結果、個人間の差異より移行方向の共通性が大きいこと、初期には方法の相違や見通しのもてなさに困惑するが、中・終期においてA群教師(小学校から幼稚園へ)は独自のアイデアをいれていき適応感が高かったのに対し、B群教師(幼稚園から小学校へ)は適応感をもてず自己発揮が十分に出来ないと語り移行方向による適応感の相違がみられた。また両方向共に初期に共通に語られたのが、時間経験見通しの立たなさに関する側面であることが示された。
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Research Products
(10 results)