2009 Fiscal Year Annual Research Report
「キー・コンピテンシー」に基づく学習指導法のモデル開発に関する研究
Project/Area Number |
19330208
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
下田 好行 National Institute for Educational Policy Research, 初等中等教育研究部, 総括研究官 (70196559)
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Keywords | キー・コンピテンシー / 知識基盤社会 / 思考力・判断力・表現力 / 言語活動の充実 / 知識・情報活用能力 / 市民性 / 学校図書館活用教育 / NIE |
Research Abstract |
現往は知識・情報が社会・経済を駆動する知識基盤社会である。知識基盤社会で必要な能力として、OECDはキー・コンピテンシー(鍵となる能力)を提案している。この能力観は知識を習得することが目的となっていない。知識はあくまでも道具であり、これを使用し表現・コミュニケーションすることが能力であるとしている(相互作用的に道具を用いる)。PISA調査はこの能力観をもとに知識・技能を実生活に活用する力を測定している。「活用」とは、児童生徒の状況文脈に即した課題を解決することであり、根拠をもとに自分の意見を表現しコミュニケーションすることである。中央教育審議会答申では、このことを「課題解決のための思考力・判断力・表現力の育成」としている。そして、「言語活動の充実」を教科横断的に図る学習を進めるとしている。このような考え方にそって、キー・コンピテンシーを育成する学習指導法の枠組みを開発した。また、この枠組みにそって授業実践を小学校と中学校で行った。学習指導の枠組みは「活用としての調べ学習」「課題解決のための活動的・協同的・表現的な学び」とした。「活用としての調べ学習」では、知識・情報活用能力を育成するスキルを学習する。「活用」は児童生徒の状況文脈に即した課題を解決することであることから、児童生徒がやがて社会で遭遇するであろう課題を調べ学習のテーマとした。こうした課題を解決することは、日常現実社会をよりよく生きることであり、主体的に社会に参画する市民を育成する「キー・コンピテンシー」につながるものである。この研究では市民性を育成する知識・情報を新聞、図書・資料、インターネットを使用しながら調べる学習を行った。特徴的な方法として、児童生徒はクラスの共通テーマからグループのテーマへと絞り込む活動を行った。「課題解決のための活動的・協同的・表現的な学び」では、調べ学習の成果を表現する学習を行った。表現物を作成する過程で、児童生徒は知識・情報を道具として使用し表現・コミュニケーションすることを必然的に学ぶ。このことをもって「キー・コンピテンシー」を育成したと解釈することができる。
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Research Products
(8 results)