2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳機能評価の共有により医学と教育と連携した自閉症者支援方法の確立
Project/Area Number |
19330212
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
成田 奈緒子 Bunkyo University, 教育学部, 准教授 (40306189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒谷 薫 日本大学, 医学部, 教授 (90244350)
成田 正明 三重大学, 医学研究科, 教授 (80302404)
霜田 浩信 文教大学, 教育学部, 准教授 (80364735)
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Keywords | 自閉症 / セロトニン / 脳機能 / 認知 / 情動 / スイッチングタスク |
Research Abstract |
本研究は、申請者がこれまでに行ってきた基礎医学研究と臨床医学の知見を生かした上で、教育的手法と融合させた、新しい自閉症者への全人生的・包括的な支援を確立することを目的として計画されたものである。このため本年度は、簡便かつ非侵襲的に脳血流量の変化が測定できる近赤外線酸素モニター(NIRS)、脳年齢計、眼球運動モニターシステムを導入し、様々なタスク下の前頭葉血流量の左右差をコントロールと自閉症者において測定し、特に自閉症者で著明にみられる、ワーキングメモリ不全、及び情動の統合不全による認知の障害について、特にセロトニン神経系との関連にっき検索した。まず、自閉症患児と健常児においてスイッチングタスク(音読→ワーキングメモリタスク)の負荷を行い、その際のNIRSによる前頭葉の脳血流量の変化を測定した。その結果、自閉症児では、ワーキングメモリタスクへの切り替えに応答して、前頭葉を活性化させる機能が健常群と比して大きく低下していることが明らかになった。 また、情動を惹起させる刺激を与え、ポジティブ情動、ネガティブ情動を起こさせたあとに計算タスクをかけたときの計算正答率は、健常児においてもポジティブ情動惹起後が上昇していたが、自閉症児では、さらにその差異が明確であり、ネガティブ情動、すなわち不安を惹起することが学習への名マイナス効果を与えることが示唆された。このタスク中のNIRS測定では、特にネガティブ情動刺激下での左右差が著名で回復が遷延する所見が得られた。現在は、特に音読や視覚による計算タスク表示などを行っている際の、眼球運動の変化について眼球運動モニターシステムを用いた測定を行う準備段階である。
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Research Products
(5 results)