2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19340015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古田 幹雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (50181459)
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Keywords | 幾何学 / トポロジー |
Research Abstract |
(1)Pontrjagin-Thom構成による非線形Fredholm理論の不変量について。主として代表者古田とミネソタ大学のTian-Jun Li氏との共同研究である。従来通常は与えられた非線形Fredholm写像を摂動することによって解のモジュライ空間の定義方程式の横断性を達成し、それを用いて不変量を定義する。我々のアプローチは、摂動を用いずに、直接不変量を定義するものである。背景にはRuanの仮想近傍のアイディアがある。Ruanは仮想近傍の基本類を構成して不変量を与えたが、我々は接束の捩れた安定自明化として不変量を与える。このホモトピー論的枠組みは、モジュライ空間がコンパクトな場合の定式化は実現された。当初は、カテゴリー論的な用語を利用した定式化を追及していた。しかし、方針を変更し、現在は、それを用いない直接的な定式化がなされている。非コンパクトな場合には、端の形状が簡明である場合にのみ構成されている。次のステップはその一般化と非自明な例の提示である。 平成21年度にFloerホモトピー型についての知見を持つ研究者を雇用する予定であったが、その研究者が別の機関への雇用が決まったため、繰越により、平成22年度に別の研究者(中村信裕氏)を雇用するよう計画が変更された。当研究プロジェクトにおいて2年前に、古田によって局所係数付きのSeiberg-Witten方程式が見出されたが、中村信裕氏により、この方程式のトポロジーへの新しい応用がなされた。 (2)Dirac型作用素の指数の局所化について 主として代表者古田と、吉田尚彦・藤田玄氏との共同研究である。線形楕円型方程式の指数の局所化を与える方法にWitten変形がある。通常はWitten変形は有限階数のベクトル束に対して提供される。我々のアプローチは、形式的には、Witten変形を無限階数のHilbert束に適用したものとして説明される。我々のひとつの動機は2次元ゲージ理論の応用であるが、そのために必要な特異ファイバーからの寄与の計算は、現在最も単純な場合(球面の測地流)にのみなされている。次のステップは、多様な特異ファイバーに対する計算、(応用に必要な範囲における)特異ファイバーの分類である。現時点で応用としてGuillemen-Sternbergの量子化予想のひとつの別証明が得られている。 (3)ユニヴァースの捩れを伴う例に3次元トーラスがある。この捩れが現れる現象を理解する試金石として、トーラス和に関するSeiberg-WittenFloerホモトピー型の張り合わせ公式を得た。だが、連結和公式に帰着されない、非自明な応用例が見出されていない。
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Research Products
(4 results)