2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19340023
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小林 亮 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授 (60153657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中垣 俊之 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (70300887)
三浦 岳 京都大学, 大学院・医学研究科, 助教 (10324617)
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Keywords | 真正粘菌変形体 / 最短経路探索問題 / Physarum Solver / スタイナー問題 / NP完全 / 卵割 / 中心体 / フェーズフィールドモデル |
Research Abstract |
真正粘菌変形体は原始的な神経系さえ持たない、単純な体制を持った多核単細胞生物であるが、迷路を解いたり最短経路問題を解く能力があることが、中垣らによって示されている。さらに、真正粘菌変形体は数多くの餌を提示された場合には、それらをできるだけ総長の短い経路でつなぐが、これは数理的にいえばスタイナー問題を近似的に解いていることに他ならない。NP完全問題であるスタイナー問題は、最短経路探索問題よりも遙かに困難な問題であり、まともに解けば計算時間の指数的発散という問題に直面するわけであるが、真正粘菌変形体はこれを数時間から1日で解くことができる。我々はPhysarum Solverを以下のように拡張する二とにより、スタイナー問題を近似的に解く方法を開発した。まず与えられた点を含む凸包を目の細かいネットワークで覆い、短い時間間隔ごとに2頂点のペアをランダムに選び、それにPhysarum Solyerを適用するのである。このようにすると、スタイナー最小木ではないが、それと位相的に等価な経路を求めることができる。これを元にスタイナー点の位置を緩和することにより、スタイナー最小木に到達できるのである。少なくとも頂点数が少ない場合についてはほぼ確実に正解に到達することがシミュレーションによって確かめられた。 卵割の過程を記述するための数理的な記述の基盤を構築した。これには小林が物質科学の分野で開発してきたフェーズフィールドモデルを用い、細胞の存在を示す変数と、各細胞(割球)を示すための変数をカップルする。これに中心体の分裂と移動を組み合わせることで、卵割のカスケードを表現できるようにした。現在、中心体の分裂と移動を決めるためのモデル方程式を構築中である。
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Research Products
(8 results)