2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19340023
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小林 亮 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授 (60153657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中垣 俊之 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (70300887)
三浦 岳 京都大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (10324617)
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Keywords | 真正粘菌変形体 / 血管網形成 / 卵割 / スタイナー問題 / 数理モデル |
Research Abstract |
真正粘菌変形体は原始的な神経系さえ持たない、単純な体制を持った多核単細胞生物であるが、迷路を解いたり最短経路問題を解く能力があることが知られている。我々の研究グループはこの過程をPhysarum Solverという数理モデルで記述することに成功してきた。Physarum Solverが極めて広いクラスのグラフ(平面グラフを含む)に対して、必ず最短経路を求める能力があることが、本専攻の大西勇氏らと共同研究で厳密に示された。また、変形体の運動とそれに伴う原形質流動をリアルタイムで観察することのできるシステムが研究分担者の中垣のグループによって開発された。 真正粘菌変形体はCPG(Central Pattern Generator)の集合体とみなすことができる。変形体における振動子に対するフィードバックの考察から、齟齬関数という概念を提案した。現在、この概念をキーとして、自律分散制御に関する理論的枠組みを展開しようとしているところである。 血管網研究に関しては、Chickの卵黄嚢に展開される血管網の変化をリアルタイムで観察できるシステムが研究分担者の三浦によって開発された。この系の観察から、動脈系と静脈系が別の層に分離しているという可能性が示唆されている。これが事実ならば、これまで考えてきた数理モデルの根本的な改変が必要となることが判明した。 卵割の過程を記述するための数理モデルを新たに構築した。多細胞系の細胞分裂を含む卵形状の時間発展の記述に関しては、北海道大学の手老篤史氏らとの共同研究により、中心体の分裂方向が、卵の存在する2つの化学物質の分布(特にその勾配および凸性)によって決定されるという仮説に到達した。現在、この仮説の妥当性を検討中である。
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Research Products
(13 results)