2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19340023
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小林 亮 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授 (60153657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中垣 俊之 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (70300887)
三浦 岳 京都大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (10324617)
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Keywords | 真正粘菌変形体 / ネットワーク / 卵割 / 自律分散制御 / 数理モデル / モルフォゲン |
Research Abstract |
鉄道網・道路網・電力網・電話網・インターネットなど、人・物・エネルギー・情報を輸送するネットワークは、現代社会の重要な基盤である。このようなネットワークにおいては、効率・輸送コスト・対故障性といった複数の基準をバランス良く満たす必要がある。生物の作るネットワークは長年にわたる自然の淘汰を生き抜いてきたものであるので、それを研究することによって、優れたネットワークをデザインするための指針を得ることが期待できる。我々は、真正粘菌変形体に東京圏の鉄道網を作らせ、実際の鉄道網と同程度の(場合によってはそれ以上の)ネットワークを形成することを示した。さらに、粘菌のネットワーク形成のモデルとして開発した拡張型Physarum Solverを用いて、粘菌や実際の鉄道網より優れたネットワークをデザインできることを示した。この仕事は2010年1月にScience誌に掲載された。 アメーバプロテウスの運動において、後部収縮による内圧上昇に基づく仮足形成というロコモーション機構を数理モデル化した。現実のアメーバで観察される二つの運動モード、すなわち定速度進行とリズミック進行が、尾部の進行速度をパラメタとして切り替わることがわかった。実験当初においては、この2つの運動モードをコントロール下で選択的に出すことに成功していなかったが、飢餓処理をして活性度を下げればリズミック進行が出るということを数理モデルによって予言し、それは実験によって確認された。 卵割、特にウニ卵の卵割過程を記述する数理モデルを提案した。植物極と動物極で生成される拡散性の2種のモルフォゲンにより、中心体の運動がコントロールされるという仮説をもとにこのモデルは構成されている。シミュレーションにより、第4卵割までの正常卵割および摂動実験の結果を、不等割まで含めて再現することができた。この結果はモルフォゲンの複雑な分布を仮定せずとも、両極でのモルフォゲンの生成のタイミングの制御だけで、卵割面の方向や位置をコントロールできることを示している。
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Research Products
(16 results)