2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19340036
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石毛 和弘 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 准教授 (90272020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳田 英二 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80174548)
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Keywords | 熱方程式 / 符号変化する解 / 解の凸性 / 解の最大点挙動 / 大域的挙動 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度までの熱方程式の解の最大点の挙動の研究から発想を得て、ポテンシャル項付き熱方程式や半線形熱方程式などの方程式に対して、符号変化する解の大域的挙動について研究を行う一方、解の等高面の凸性に関する研究も行った。 1. 符号変化する解の大域的挙動 : 符号変化する解の大域的挙動はその複雑さの性かあまり多くの研究がなされていなかった。本研究では、解のモーメントに着目し、解の詳しい漸近挙動および解の極限と解との誤差について精密な評価を行い、最善の評価を得ることに成功した。この研究手法は、熱核のテイラー展開に基づくものであるが、初期値のモーメントが零ならば解の減衰が速くなるという性質を広いクラスの初期値に適応できる方法であり、過去の結果と比較して画期的な方法であると考えている。この研究は、室蘭工大の石渡通徳氏及び東北大院生の川上竜樹氏との共同研究によるものである。 2. 解と等高面の凸性 : 熱方程式や多孔質媒質方程式の初期値問題において、解の初期値に適当な凸性条件を課すことによって、時間が経過しても解の等高面の凸性が保存されることが知られている。しかし、その条件が最善であるかどうかの研究はなされていない。本研究では、2次元以上の高次元空間において、ある種の凸性条件をみたす一方ある種の空間的非対称をもつ初期値を構成し、ある時刻において解の等高面が非凸になる例を構成した。本研究が示した、空間的非対称が引き起こす凸性の崩れは当研究分野では初の試みである。この研究は、フィレンツェ大学(イタリア)のPaolo Salani氏との共同研究である。
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