2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19340039
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
梶原 健司 Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 准教授 (40268115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野海 正俊 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80164672)
山田 泰彦 神戸大学, 理学部, 教授 (00202383)
坂井 秀隆 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 准教授 (50323465)
白井 朋之 九州大学, 大学院・数理学研究院, 准教授 (70302932)
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Keywords | パンルヴェ系 / 可積分系 / 超幾何函数 / 点の配置空間 / 超離散化 / リーマン・ヒルベルト対応 / 核関数 / フレドホルム行列式 |
Research Abstract |
本年度は以下の研究成果を得た. ・パンルヴェ系を複素射影平面上の9点の配置空間を用いて代数幾何学的に定式化し、時間発展とベックルント変換をクレモナ変換として実現した。その応用として楕円超幾何函数_<10>E_9にからエアリ函数に至る、パンルヴェ系全体の特殊解として現れる超幾何型特殊函数の退化図式を得た。 ・取り扱いが困難だったA4^<(1)>型のq-パンルヴェ方程式を取り上げ、φ1で表される超幾何型の特殊解およびそのHankel行列式表示を構成した。 ・パンルヴェII型およびIV型方程式で報告されていた、一般解の行列式表示の要素の母函数と補助線形問題の関係を考察し、それがベックルント変換を記述するToda方程式とその階層に由来する普遍的な構造であることを示した。 ・超離散化に関して、特にBethe仮説に由来する組合せ的なKerov-Kirillov-Reshetkhin対応の区分線形写像による表示を与え、箱玉系の一般のソリトン解に応用した。これはKP方程式のソリトン解の超離散化にもなっている。 ・指標多様体上の写像類群作用の力学系とパンルヴェVI方程式の非線形モノドロミーの力学系とをリーマン・ヒルベルト対応を介して結びつけ、それらの大域挙動を研究した。特に前者の有限軌道と後者の代数解の分類についてある進展を得た。 ・パンルヴェ系の一般化の一つの鍵となることが期待されている、三角函数及び楕円函数を係数とするBC型の差分作用素の核函数の研究を行った。三角函数を係数とする場合については、その固有函数であるKoornwinder多項式の明示公式の構造を明らかにした。 ・対称な積分核のフレドホルム行列式をラプラス変換とする配置空間上の確率測度の相関関数はその積分核の行列式であらわされることが知られているが、この事実を積分核が非対称な場合へ拡張することを試みた。この結果はパンルヴェ系の超幾何解の応用を探る上で重要である。
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