2008 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ重力レンズ効果を利用した暗天体と太陽系外小型惑星の探索
Project/Area Number |
19340058
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
村木 綏 Konan University, 理工学部, 教授 (70013430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
さこ 隆志 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教 (90324368)
住 貴宏 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教 (30432214)
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Keywords | 重力レンズ効果 / 星の質量関数 / 褐色矮星 / CCDカメラ / 大マゼラン雲 |
Research Abstract |
MOAグループは、ニュージーランド・マウントジョン天文台の日本の科研費で製作された口径1.8mの大型望遠鏡をfull稼動させ、銀河中心方向を観測した。その結果2008年には477個の、2009年1-3月には約131個の重力レンズ効果で増光したイベントを発見した。2.2平方度を一度に測光できる広視野CCDカメラの特徴を生かし、銀河中心部の2領域を十分間に一回スキャンを繰り返し撮像した。その結果増光時間がわずか1.2日と短時間重力レンズ効果で増光されたイベントを発見した。このような短時間増光をもたらす重力レンズ天体は褐色矮星と考えられる。これは世界で始めて、褐色矮星を重力レンズ効果で検出したことになる。なお銀河中心部の広い領域は、一時間に一回繰り返し測光している。 星の質量分布関数(IMF)は、天文学の基本的な関数である。0.08太陽質以下の星は核融合反応で燃焼しないため検出が難しく、0.08太陽質量以下のIMFは定まっていなかった。しかし我々は短期間重力レンズ効果を受けるイベントを観測し、軽くて核融合反応をしない褐色矮星領域の質量分布関数を精度よく求めることに世界で始めて成功した。0.08太陽質量以下の分布関数は質量(M^γ)の冪でγ=-1.1+-0.2で書き表すことができた。これらの結果は2009年1月19日から21日までパリ天文台で開催された第13回マイクロ重力レンズ効果に関する国際研究集会で発表され、現在論文として公表するための準備がされている。 その他に甲南大学MOAグループは2000-2005年に口径65cm望遠鏡を用いて集積された大マゼラン雲の変光星についてのカタログを製作する準備作業に入った。
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