2008 Fiscal Year Annual Research Report
s電子を利用した特異な磁性・電気伝導・誘電現象の探索
Project/Area Number |
19340098
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東 正樹 Kyoto University, 化学研究所, 准教授 (40273510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島川 祐一 京都大学, 化学研究所, 教授 (20372550)
齊藤 高志 京都大学, 化学研究所, 助教 (40378857)
水牧 仁一郎 京都大学, (財)高輝度光科学研究センター・利用研究促進部門動的構造グループ, 副主幹研究員 (60360830)
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Keywords | 強相関電子系 / 電子・電気材料 / 放射線・X線・粒子線 / 物性実験 |
Research Abstract |
今年度は交付申請書に従って研究を進め、以下の成果を得た。 1. 新しく合成したダブルペロブスカイトPb_2FeReO_6のMCD測定から、FeとReの持つスピンが反強磁性的に結合したフェリ磁性体であることを確認した。また、Feが大きな軌道角運動量を持つことを見いだした。 2. BiNiO_3の圧力下高温・低温の中性子・放射光X線粉末回折を行った。その結果、昇温によってBi^<5+>とNi^<2+>の間で電荷移動が起こり、Bi^<3+>_<0.5>Bi^<5+>_<0.5>Ni^<2+>O_3の絶縁体相からBi^<3+>Ni^<3+>O_3の金属相へ転移することを見いだした。この際、体積が2.6%収縮する、負の熱膨張が起こる。 3. 15GPaの圧力下で新しく合成したBaVO_3は、残念ながら自発分極を持たない立方晶のペロブスカイトであった。一方BaTiO_3においてはBa^<2+>をイオン半径の小さいCa^<2+>で置換することで自発分極が増大することが報告されたので、BaVO_3においてもBaをCaで置換した試料を合成した。Ca置換した試料も立方晶のままであったが、小さいイオンで置換したにもかかわらず、格子定数が増大する異常な振る舞いが観測された。 4. 代表的な圧電材料であるPZTの高い圧電特定は、母物質の正方晶PbTiO_3が非常に大きな自発分極を有する事、そして、モルフォトロピック相境界(MPB)と呼ばれるPbZrO_3(菱面体晶)との相境界近傍での構造不安定による。正方晶のBiCoO_3をPbTiO_3に、菱面体晶のBiFeO_3をPbZrO_3に見立て、PZTと同様の固溶体を合成、(1-x)BiCoO_3-xBiFeO_3として、x=0.7近傍に正方晶-菱面体晶の相境界があることを明らかにした。また、化学溶液法で薄膜試料を作成、圧電定数の測定を行い、BiFeO_3にCoを固溶させることで圧電定数が増大することを見いだした。
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Research Products
(4 results)