2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19340119
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木下 修一 Osaka University, 生命機能研究科, 教授 (10112004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 伸也 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (90324863)
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Keywords | 構造色 / フォトニック結晶 / ナノ材料 / 昆虫 |
Research Abstract |
クジャク、モルフォチョウ、ネオンテトラなど、自然界には驚くほどの輝きを示す生物がいる。この輝くような色は、光吸収が関係した色素や顔料などの「普通の色」とは異なり、ミクロなナノ構造と光が複雑に絡み合ってつくられる構造による発色、すなわち、「構造色」である。本研究では、これまでにモルフォチョウなど、自然界の構造色の研究で培った方法論と成果を発展させ、更に多くのフォトニクス技術を用い、蝶の鱗粉や鳥の羽根の発色の仕組みを探求した。 本研究では、特に構造のもつ階層性に着目した研究を行った。一般に、構造色はさまざまな階層をもった構造と光との複雑な相互作用であるため、測定領域の大きさを変化させながら測定することが必須となる。そのため、通常の光学測定の他、顕微鏡下での測定、単一構造体に対する測定などを行った。また、代表的な構造色生物であるモルフォチョウを試料として、翅の反射特性を効率よく測定するため、試料への光の入射角度と検出角を独立に掃引できる装置を製作し、2つの角度を独立なパラメータとする反射パターンマッピングを行った。この装置を用いて16種類のモルフォチョウの翅を試料として計測したところ、反射パターンから数種のパターンに分類でき、それらが鱗粉の特異な微細構造とその配列に密接に結びついていることが分かった。このパターンの物理的な意味を調べるため、干渉と回折効果および不規則性を取り入れた物理モデルをつくり、FDTD法を用いた電磁場計算を行い、その仕組みを明らかにした。一方、蝶の翅を遠方から見た時には、単に微細構造で決まる光学効果に加えて、人の認知機能に関わる質感の認識が見られることも分かった。モルフォチョウのもつ質感を表現するため、モデルを製作し翅の持つ、濡れたような質感を与える要素の解明を行った。
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Research Products
(12 results)