2008 Fiscal Year Annual Research Report
オホーツク海・北太平洋中層の温暖化とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
19340131
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三寺 史夫 Hokkaido University, 低温科学研究所, 教授 (20360943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 慶一郎 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (30185251)
中村 知裕 北海道大学, 低温科学研究所, 講師 (60400008)
小野 数也 北海道大学, 低温科学研究所, 技術職員 (40396320)
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Keywords | オホーツク海 / 高密度陸棚水 / 中層循環 / 温暖化 / 風成循環と熱塩循環の結合 |
Research Abstract |
海洋中層における水温変動メカニズムを、オホーツク海の数値実験、北太平洋の高解像度モデルおよび歴史データの解析、ポリニアにおける高解像度モデル、の観点から研究した。 1. 0.5度格子の解像度を持つ海洋海氷モデルを用いて数値実験することにより、高密度陸棚水(Dense Shelf Water ; DSW)形成に伴うオホーツク海の3次元的循環過程を再現した。その結果、従来から注目されてきた千島列島沿いの潮汐混合に加え、風が変化することによっても300mから500m深の中層水温が変化することを明らかにした。これは風が強くなると表層北向きの塩分輸送が増大し、海氷生成がなされる北西陸棚域の塩分強化・高密度化を引き起こし、より多くの冷たい海水が中層まで潜り込むためである。また、気温を上昇させた実験では、海氷生成量の減少にともなって中層水温の温暖化が生ずること、さらに観測ともよい一致をすること、を示された。 2. 1/(30)度の非常に高解像度のモデルを用い、ポリニアにおける高密度陸棚水の形成過程を特に風の効果に注目して調べた。オホーツク海に関しては、ポリニア上での東風が強い場合に陸棚水の形成量・流量は増える一方、塩分増加は抑えられる。この傾向は特に北部陸棚域の中央部分で大きかった。これも1.と同様、風によってDSWの密度、ひいては中層水温に影響を与えうるプロセスである。 3. 北太平洋において密度26.8σθの中層水では、この50年で亜寒帯の温暖化とともに、亜熱帯での寒冷化が顕著であることを、歴史データ解析および1/12度高解像度北太平洋モデルから明らかにした。これは1970年代半ばのレジームシフトに伴う親潮の強化が原因となり、亜熱帯により多くの亜寒帯水が貫入したためであることが明らかとなった。
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Research Products
(26 results)