2009 Fiscal Year Annual Research Report
氷コア解析に基づく北部北太平洋への陸起源物質降下量復元
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19340137
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
白岩 孝行 Research Institute for Humanity and Nature, 研究部, 准教授 (90235739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
的場 澄人 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (30391163)
山縣 耕太郎 上越教育大学, 学校教育学部, 准教授 (80239855)
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Keywords | 雪氷コア / 気候変動 / 地球温暖化 / アラスカ / 高山環境 / 氷河 / 流動 / 雪氷 |
Research Abstract |
平成21年の最終年度は、掘削された雪氷コアの分析・解析に集中して研究を実施した。また、コアの年代を推定するための流動モデルを開発した。 掘削直後に測定された氷コアの密度プロファイルは、表面から徐々に増加する山岳地域の寒冷氷河に見られる一般的な傾向が見られた。氷化深度は約55mだった。密度分布に顕著なばらつきがなかったことから、風による削剥、融解の流出入の影響は少ないと考えられる。目視観察による融解氷層の分布から掘削地点は浸透帯に位置していると判断できた。融解氷層の厚さは10cm近い大きなピークがいくつか見られるがほとんどは2cmに満たない。よって、夏季に生じる融解水は前年の層まで浸透することなく直下の層で再凍結し、化学・同位体シグナルに顕著な擾乱を与えていないと判断した。 水素同位体比はほぼ明瞭な季節変動を示し、年層を判別することができた。その結果、34mで8年間に相当すると推定された。流動モデルによれば、コアの最深部の年代は、西暦1925年前後に相当すると結論される。 主要イオン分析、微量金属分析を実施し、過去10年間の東部北太平洋域への鉄の沈着量を推定した。その結果、10年間の平均鉄沈着量は8.8mg/m^2・yrで、日本で大規模な黄砂飛来が観測された2001年2002年は、それぞれ、29mg/m^2・yr、19mg/m^2・yrであったことが判明した。大気由来の鉄の海水への溶解度を2%と仮定すると、30m深の海洋表面混合層への鉄の供給は、10年間の平均値では、植物プランクトンを増殖させるほどの影響がないが、2001年、2002年のような大規模黄砂時には影響を与えうることが推測された。
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