Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 雅裕 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (80203256)
佐野 栄 愛媛大学, 教育学部, 教授 (10226037)
堀 利栄 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (30263924)
西村 文武 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60283636)
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Research Abstract |
重金属超集積植物のマツバイを用いた水耕栽培実験を行った.実験では,マツバイはその汚染された水によく順応して生育することができた.また,Sbの集積植物のヘクソカズラの水耕栽培実験では,あまりSb濃度が高くなかったが,土壌栽培実験ではSb濃度が最大で122mg/kgであった. マツバイのフィールド栽培実験は国内の鉱山3カ所で行った.その結果は,マツバイが重金属汚染された河川水から多種類の重金属を吸収・蓄積する能力があることを示唆している.また,褐色の葉が緑の葉・根よりも高濃度に重金属を蓄積していた.この事実からマツバイに蓄積された重金属は枯れた後も溶出せずに体内に固定されていると考えられる. ヘクソカズラのフィールド栽培実験は愛媛県市ノ川鉱山で行った.その結果,ヘクソカズラが日本初のSb集積植物であることが明らかになった.また,ヘクソカズラは高濃度のSbを含む水・土壌でも順調に生育することから,Sb耐性も高いと考えられる.したがって,ヘクソカズラは,自然由来のSb汚染された土壌のファイトレメディエーションを数年間にわたり継続して行う上で,非常に有効な能力を有していると言える. 実験研究結果に基づいて,マツバイによるファイトレメディエーションにおけるエンジニアリング設計および経済性について検討した.その結果,マツバイによる重金属汚染された水環境のファイトレメディエーションが可能な条件として,(1)河川の場合,砂防ダム前面の湿地など水の流速が極めて遅い環境であること,(2)水深がほぼ一定で,かつ数10cm以下であること,が挙げられる.また,マツバイが吸収した重金属は,その大部分が体内のプラントオパールに蓄積されていることから,一種の不溶化が行われていることになる.それに基づく経済性の評価は,従来の不溶化や浄化技術と比較して,1/100程度のコストで十分であるという結論に達した.
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