2007 Fiscal Year Annual Research Report
星間分子の新しい重水素濃集メカニズム:極低温星間塵表面反応
Project/Area Number |
19340167
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡部 直樹 Hokkaido University, 低温科学研究所, 准教授 (50271531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 宏 北海道大学, 低温科学研究所 (00400010)
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Keywords | 星間塵 / 星間分子 / 重水素濃集 / 極低温表面反応 |
Research Abstract |
本研究のねらいは極低温星間塵表面反応による星間分子の重水素濃集メカニズムの解明である.平成19年度は,分子雲における水分子およびその重水素体生成反応を調べた.星間水分子の重水素/水素比は,およ10^<-2>〜10^<-3>であり,元素の宇宙存在度10^<-5>に比べて重水素濃集が進んでいる.分子雲で水分子を生成するには星間塵表面でのO_2分子への水素原子逐次付加反応(O_2→HO_2→H_2O_2→H_2O)が重要であると考えられているが,その反応の詳細は全く分かっていなかった.本研究では10Kの極低温基板(疑似星間塵表面)にO_2分子を蒸着し,そこへHもしくはD原子を照射し,原子逐次付加反応の有無とその反応が重水素濃集に果たす役割を調べた.実験の結果,付加反応の前段(O_2→HO_2→H_2O_2)は水素,重水素付加との間に反応速度の差はほとんど見られず,低い活性化エネルギーに対するアレニウス的な反応で進むことが分かった.また,後段(H_2O_2→H_2O)は重水素付加反応が水素付加よりも一桁遅く,トンネル反応によって進んでいることが明らかになった.メタノールに見られるようなH-D置換反応は観測されなかったが,星間塵上におけるH,D原子付加反応のみでも分子雲で観測された重水素濃集度を実現できることを初めて明らかにした.
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Research Products
(11 results)