Research Abstract |
(1)主鎖として感熱性高分子PNIPAMを用い,末端アルキル鎖C-PNIPAM-C(M=12,22,35,49K),末端ピレンPy-PNIPAM-Py(M=6,11,26K),末端コレステロールCh-PNIPAM-Ch(M=10,20,30K)を合成した.これらの希薄溶液中での会合体の構造を光散乱法,DSC測定,蛍光偏光解消法等で実験的に調べ,相分離開始点(曇点)を測定した(カナダのグループ).主鎖の連鎖性共同水和と末端基の会合を考慮した「高分子水溶液の統計力学モデル」をこれらの測定結果に適用し,コイル・グロビュール転移曲線,ならびにLCST型の曇点曲線を計算することで主鎖ならびに末端基の効果を解明した(京大グループ) (2)(1)の高分子試料を用いて,水和構造と会合体形成乏との関係に注目しながら,種々の温度で(超)小角中性子散乱(USANS)の実験を行っ(日本原子力研究所:小泉,元川).会合体ミセル(主として花型ミセル)の構造因子の計算,ならびに会合体間の相関を乱雑位相近似(RPA)で取り込んだ散乱関数の計算を行い(田中,古賀,印出井),散乱強度のプロファイルを解析することにより,高次会合構造を解析した.また,LCST以上の高温領域で出現する巨大サイズ(数百nm)の安定会合体(メソグロビュール)の構造解析を行い,安定化の分子機構を解明しつつある.USANSではメソグロビュールの内部構造に関する知見も得られたので,理論サイドからはコアーシェル構造より複雑な多核構造の会合体の構造因子の計算を行った. (3)非アフィン組み替えネットワーク理論(田中)と分子シミュレーション(古賀)を用いて,テレケリック鎖ゲルの流動特性(シックニングとオーバーシュート),シェアバンディング,高剪断速度での破断現象の研究を行った.テレケリックポリエチレンオキシドを用いて剪断開始流における応力の経時変化を測定した(金田).さらに,以上の研究で得られた基本的な知見を,テレケリック高分子と界面活性剤紐状ミセルとの相互作用の研究を行った.テレケリック鎖による架橋により新たに弾性率の増加と緩和モードが観測される.
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